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物流ニュース
東電物流 発送分離がチャンス、物流の秩序が変わるかも
2017年11月29日
「10年前に作られた経営理念は、時代が変わってきた以上、作り変えるべきと考えている」というのは、東電物流(東京都品川区)の朝岡正裕社長。来年1月1日のホームページの刷新にあわせて、新しい経営理念を発表するという。現在、社員とダイアログしながら経営理念を考えている。
本社と八つの支社の社員300人と対話しながら、さまざまな経営理念を話し合っているという朝岡社長は、自身が自ら意見を引き出していく。現場で人気があるのは「NO BORDER」や「MOVE FORWARD」など。「どんどん意見を出させている。意見を集約するのではなく、発散させている。今月26、27日に管理職と若手社員40人を集めて、言葉選びの議論をしようと考えている」という。
もちろん、朝岡社長にも考えている経営理念があり、その中心にあるのが「ライフライン ロジスティクス カンパニー」である。経営理念を決めたのちに「ビジョンや行動指針を経営理念にあわせて作りたい」という朝岡社長。この経営理念のリニューアルがそのまま今後の同社の事業展開に結びついていく。
同社では今後、配電バリューチェーンの最適化と電力関係の隣接部分の業種への事業展開をめざす。最適化では、メーカー製品輸送のミルクラン方式の導入と配電工事材料の一括購入・販売を確立させる方針だ。朝岡社長は「電力業界の隣接業種への展開を広げていくのと同時に、関東エリア以外への事業展開もめざす。上流と下流のいまあるバリューチェーンの最適化で売り上げはかなりのところまでいく。営業対象を広げることで200億円以上の売り上げをめざす」という。
外販を拡大していく上で「名前が知られているという部分はメリットとデメリットの両方がある。ネームバリューがあるからこそ会っていただけるということもある。65年という東京電力のブランドを十分に生かせていけると考えている」と説明。「電力業界ではモノの値段と物流費が一緒になっている。物流費がわからないことが多い。それを分けて考えて、共同購入してバーゲニングパワーで物流費を安くするという提案ができれば、東電以外の地域にも入っていける可能性がある。コストの見える化と一緒」。同社長は経産省などが進める「発送電分離」がチャンスと考えており、物流の秩序が変わるともいう。
東電物流が保有する車両は31台。協力会社は50社・250台に及ぶが自社便のほとんどをPCB(ポリ塩化ビフェニル)の処理輸送と災害時の被災物資輸送に使っている。「PCBの入った変圧器は2027年までにすべて処理することが決まっている。PCBは路上にこぼしてしまうと処理するのが大変で、これだけは外部に任せられない」と指摘。「この仕事も2027年にはなくなる。今後は大型の変圧器などの輸送も手がけていくことも視野に入れている。大型の変圧器の場合、輸送することはできても設置するには専門の作業員が必要になり、そういった人材も抱えていきたい」
また、同社の使命とも考えているのは「災害時の緊急物資の輸送」という。「災害が発生した際には真っ先に緊急物資を運ぶことが使命。食料や仮設トイレ、発電機や燃料を運ぶ。今後は行政に当社が緊急物資を保管して、災害時に速やかに輸送する。こういったビジネスモデルも視野に入れている」という同社。外販を拡大させて、東京電力に貢献することで、最終的には消費者への電気料金を下げることにつなげていく考えだ。
◎関連リンク→ 東電物流株式会社この記事へのコメント
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