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物流ニュース
大塚倉庫 平田和也係長 「動画で伝わりやすく、全体の底上げを」
2018年2月16日
酒類・飲料メーカーの子会社が中心となって組織されている物流技術研究会(物技研)。物流や安全品質の情報を共有し合って、協力会社と共に物流品質の向上を進めている。今回は、大塚倉庫東京本部(東京都中央区)ロジスティクス本部の平田和也係長に話を聞いた。
「物技研創設後に、お声をかけていただいた。当社ではトラックを保有していませんでしたが、リフトの安全、品質向上につながるということで、参加させていただいた」という同社。「同業他社であっても、抱えている問題は同じ。安全については会社ではなく、業界全体で取り組む問題と考えています」という。
「当時、リフトの運行に関して、当社でも手順書などは作成していましたが、標準化などについては試行錯誤している状態でした。私自身も受講生の一人として物技研の講習に参加したことがあります。学んだことをすぐに実践したくなるような講習でした。より現場に近い講習で、大塚倉庫としてはパートナー企業を含めて多くの人間が参加しています」という平田係長。同社のパートナー企業は全国におよそ80社あるという。「受講生は主に指導者になりたい人間を募りました。私も受講して、具体的なリフトの操作方法を学びました。例えば、旋回する際はハンドルを回転させすぎず、1回転半にとどめる方が、キレイに小回りに旋回することなどですが、これによって接触事故を防ぐことができます。受講後はすぐに同僚に伝えて回りました」と当時を振り返る。
「当社ではリフトについては独自に『フォークリフトマイスター制度』を導入しています。操作技能や指導力などによって星ゼロから星3つに分かれており、リフトマンのうち星3つは30%ほどです」という平田係長。「実施当初は現場のモチベーションを高めるために実施していました。現在では星3つの人間が星1つ、2つの人間を、さらに上に伸ばす底上げを考えています。また、社員だけを評価するのではなく、倉庫内で働く人間すべてを対象にしようと思い、今後はパートナー企業にも広げていこうと考えています。マイスターには認定書を発行しており、事務所に張り出すことでお客様に『この事務所にはこれだけのマイスターが所属しています』という安心感にもつながります」と説明。
また、同社には「大塚ルール」という独自の取り決めがある。紙に書いた手順書だけではなかなか頭に入らないことから、「実際の作業を動画にして見せることにしている」という。「手順書にツメを○△センチ上げると書いていても、理解しにくい。動画を見せることで、よりわかりやすく浸透させることができます。動画はすべて実際の作業現場で撮影しており、作業者もすべて従業員。見る人間が興味を持って見ることができるようにしています」という平田係長。動画はすべて平田係長を中心にロジスティクス本部が撮影、編集しており、「物技研で学んだ『わからない人に教えるにはどうすればいいか』を追求した結果です」という。
そうした作業手順が守られているかをチェックするために「昨年初めてフォークリフト大会を実施しました」と話す。通常なら大会開催地に全国から参加者が集合するが、同社では「ネット回線を使って、全国6拠点で同じ大会コースを設置、テレビモニターを通じて採点できるようにしました。今回の参加者は若手に絞り、ルールの標準化ができているかどうかをチェックすることができました。今後も定期的に開催する考えで、パートナー企業の参加や星3つのマイスターだけの大会などを考えています」という。
ネットを通したリフト大会にすることで「通常の大会よりも回数を多く開催できるというメリットがあります。短いスパンで開催することで現場のモチベーションも上がりやすくなります」と説明する平田係長。「リフトマンはもともと外部とコミュニケーションを取りにくく、情報を共有しにくい面がありましたが、大会を通じて他の拠点の作業員のスキルを学ぶことができます」と指摘。「今後もパートナー企業を含めて、安全や品質面での全体の底上げを進めていきたい」と考えている。
◎関連リンク→ 大塚倉庫株式会社
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