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    再犯防止に就労支援 「協力雇用主制度」とは

    2018年4月16日New!!

     
     
     

    犯罪や非行をした人の再犯防止には就労支援が必要ということで、そうした過去のある人を雇い入れる協力雇用主という制度がある。協力雇用主になるには、各都道府県にある保護観察所で登録が必要となるが、現在、全国で約1万9000社が登録している。業種としては、建設業が57%と圧倒的に多く、サービス業が13%と続き、運送業は5%とまだまだ少ない。犯罪や非行経験者を雇うことに抵抗を感じることも事実で、そのための社内環境の整備も必要であり、それなりのハードルもある。しかし一方では、深刻化する人手不足の問題もあり、その改善や、雇用によって更生を後押しするという社会貢献も期待できる。中小だからこそ可能な取り組みだといえる同制度の現状を取材した。

    犯罪者の再犯は、仕事があるとないで、約3倍も違ってくるという。そのため、再犯防止には就労支援が不可欠だ。こうして平成21年1月に立ち上がったのが、全国就労支援事業者機構(東京都渋谷区)だ。経済界を中心に、事業者の立場から犯罪者の更生を支援するもので、現在、キヤノン会長の御手洗冨士夫氏が会長を務めている。

    同機構によると、犯罪や非行をして保護観察を受けた者のうち、仕事のある者の再犯率は7.7%で、無職者の再犯率は25.2%になり、その差は3倍にもなるという。

    こうしたことから再犯を防ぐには、就労支援が不可欠との観点から、同機構が立ちあがり、現在、就労支援などを行っている。

    企業が犯罪や非行の前歴者を受け入れるには、協力雇用主になる必要がある。 東京都就労支援事業者機構(同新宿区)の村上高信常務理事によると、協力雇用主数は、毎年約150社程度増加しているという。東京都の協力事業主は、平成29年4月現在で848社となり、そのうち約半数の495社が建設業で、運送業は40社と約5%となっている。

    村上常務理事によると、保護観察が終了するなど、毎年250人ほどが、更生保護対象者となっているという。

    更生保護対象者を受け入れる流れとしては、協力雇用主となった後、ハローワークで専用求人を出すことで、刑務所に入所中の人や保護観察を受けている人、または刑務所などを出所して6か月以内の人だけに求人が公開される。対象者から希望があれば面接を行い、採用の合否を決めるという流れだ。

    一方、積極的に採用を進めたい場合は、コレワークという制度の活用もある。あらかじめ、受刑者が必要な資格を持っているか、また、出所後にどこに住むかなど、情報を提供してもらい、対象者がいれば面接を行い、採用の可否を決めるというもので、平成30年1月末現在、940件の相談があり、141件の内定が決まっている。

    こうした受刑者などの雇用には支援制度も準備されている。刑務所出所者らを試行的に雇用した場合、最長3か月間、月額4万円が支給される「試行雇用助成金」や刑務所出所者などを雇用した場合、最長6か月間、月額最大8万円が支給される「就労・職場定着奨励金」、刑務所出所者などを雇用してから6か月経過後、3か月ごとに2回、最大12万円が支給される「就労継続奨励金」などの国の支援制度のほか、「給与支払い助成」や「住み込み就労の受け入れ助成」「健康診断助成」「免許取得助成」など、就労支援事業者機構の助成もある。

    村上常務によると、実際に採用の現場に接して、雇用に関して大きなトラブルに発展するケースはほとんどないという。

    「続かずに辞めるケースや、会社に来なくなるケースはある」としながらも、「服役の理由となった犯罪を、再度犯して、就職した会社とトラブルを起こすことはほとんどない」と指摘した上で、「真面目な働きぶりが評価され、今では管理職に就いた人もいる」と、同常務は話す。

    企業にとっては、人材確保が出来るだけでなく、人の更生に携わるという社会貢献も可能となるだけに、ドライバー不足が深刻化する運送業界にあっては、メリットは少なくないといえる。ただ、犯罪や非行の前歴者を雇用するということには、経営者にそれなりの覚悟が必要だ。

    「ドライバー不足の改善につながるかもしれないし、社会的使命としての必要性も感じる」としながらも、「既存の従業員の理解を得るなど、社内環境の整備が難しい」や、「当事者だけだったらいいが、もしかしたら仲間がいるかもしれない。そうした仲間が入ってきたらどうなるかなど、心配もある」と、受刑者の雇用を危惧する声があるのも事実で、当然のことながらリスクが全くないというわけではない。

    中小・零細だからこそ取り組める同制度といえるが、こうしたリスクを把握した上で、しっかりと社内環境の整備などを行えるか。人材確保と社会貢献が期待できる一方で、同制度の活用には、それなりの覚悟も必要といえよう。

     
     
     
     
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