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物流ニュース
あの震災を忘れない 自然災害が多発、「使える」協定を
2018年3月28日
阪神淡路大震災から23年、東日本大震災から7年、熊本地震から2年。その他にも台風や豪雨、豪雪、火山の噴火など「これまでに経験したことのないような」と表現される自然の脅威に見舞われることが多くなり、気象庁でもマグニチュード8クラスの東海地震発生の切迫性を報じている。全ト協会員は各都道府県と、そして都道府県の各ト協では多くの支部が所属地域の自治体と「災害時における物流業務等の協力に関する協定」などを締結しているが、果たして、その内容は時代に添った、実行可能な内容になっているのだろうか。
2月初旬、東ト協では25の各支部に向け、災害時用に締結している協定書について内容の精査を促す連絡を送信。見直しの参考とする協定書のサンプルを貼付して発信した。練馬支部と文京支部は区の協力で見直しを終え、現在、新宿支部も見直しに着手しているという。
東ト協の佐久間恒好副会長が同協定書の内容に疑問と不安を抱いたのは5年間前、練馬支部の副支部長の時である。「東日本大震災の発生時、青年部本部長を務めていた。仲間の窮状を救いたい一心で、青年部の仲間と共に数々の壁を乗り越えて活動した。その時も多々の不都合があり、その後、自分の住んでいる練馬区ではどうなんだろうと」。
東ト協練馬支部と練馬区がこの協定を初めて結んだのは50数年前。その後締結は毎年継続してきたものの、内容は現代にマッチしたものではなかった。「有事の際に物流拠点として指定された場所はすり鉢状の床だったり、運び込む動線に螺旋階段があったり。そもそも支援物資を積んだ大型トラックが拠点まで入れない状況だった。行政担当者と一緒に現場に出向いて現状確認することで、行政側の協力も得られるようになった」と説明する。実質2年をかけて練馬支部は「使える協定」を生み出し、区も災害対策を強化すべく進化している。
佐久間副会長は「支援物資の対応は初めが肝心。初期段階から物流のプロをコーディネーターとして指揮権限を与えて活動させてもらえることが重要。そして平時から行政担当者などとのコミュニケーションを深めておくことも大切」と語る。 同様な不安を抱えていた文京支部も、練馬支部を成功例として見直しに着手。この活動に当たった星野昌康副支部長は「文京区では全域で細い道が多く、支援物資輸送に使う大型車両が通れる道は限られている。集積所予定の拠点に、実際に13トンの大型トラックを持ち込んだところ、入るには入ったが簡単には出られない状況。そんな実証実験をビデオに撮り、防災、土木、民生、区民といった災害時に対応する各課の担当者に見せ、会議にも参加させてもらった」と話す。
文京区役所防災課の橋本淳一課長も「実際にやってみると、思いもよらなかった問題点や改善点が見えてくる。魂の入った協定書になった」と話し、「それでも、見直した協定の締結後に行った訓練でも注意点が新たに見つかった」と話す。文京支部の石井秀男支部長は「実際にやって体に馴染ませておくことも大事。今後は区民の皆さんにも参加してもらって訓練を重ね、本当に使えるものにしていきたい」と述べる。
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