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物流ニュース
スクロール360 「物流危機」を見越して、ECの課題が顕在化
2018年5月18日
通信販売の老舗でEコマース事業などを行うスクロール(鶴見知久社長、静岡県浜松市)のグループ会社で、ECソリューションを提供するスクロール360(山崎正之社長、同)。通販で培ったノウハウと実践経験をもつ同社の高山隆司ビジネス戦略室長が、「日本の物流クライシス」の問題点や課題、その対策方法などについて話した。
日本の物流クライシスは2017年、「ヤマト運輸の物流コスト値上げ宣言」という新聞報道から幕が開けた。一連の流れについて高山室長は「2014年から宅配研究会という集まりに所属しているが、そこでは以前から、必ず値上げの時代が来るという話が出ていた」という。
2013年のEコマース市場は11兆円で、宅配個数は36億個だった。2023年には26兆円の規模になるといわれており、宅配個数もそれにともなって増加すると考えられる。
ところが、肝心なドライバーの数は、宅配需要に対して増えていない。「5万5000人のセールスドライバーで18億個を配っているのが現状」と高山室長。
これまで抱えていた配送キャリアの矛盾や課題が明らかになって来たということで、「拡大するECの集荷に対して、いろいろな拡張スキルが追いつかず、ドライバーの採用も進まなかった」という。
だが、今回のクライシスで、「宅配が大変な状況になっている」ということが多くの消費者に認知されたとみて高山室長は「ECの利用者や事業者、配送キャリアにとって、将来のECの重要な課題が共有できたと思う」としている。
そこで、「ネット通販事業者としては、配送キャリアの協力体制の構築と集荷点の負荷を減らしていかなければならない」とし、「荷物のサイズや配送エリアの情報をデータで渡したり、方面別に仕分けしておくなどの協力や、配達店の負担を減らすために宅配ロッカーの設置、GPSを利用したアプリの導入などに力を入れる必要がある」と話す。
また、「運賃以外の物流コストを削減するために、マテハン化したセンターの共同利用。完全無人の物流センターで作業費を減らすといった取り組みも必要」と考えている。同社では、コンビニエンスストアと提携し、コンビニでの受け取りで配送キャリアに依存しない配送網の構築を行っているという。
◎関連リンク→ 株式会社スクロール
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