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    物流入札で訴訟のケースも 契約を破棄、安値が原因?

    2018年5月21日

     
     
     

     自治体が発注するポスティングや引っ越し作業といった物流業務で異変が起きている。入札時に示される仕様書の内容に反する形で物流事業者による作業の期日が遅れたり、または業務遂行そのものができなくなったりするケースが相次ぐ。その結果、債務不履行を原因とした損害賠償訴訟が提起される状況も生じている。安値による入札、受注が業務遂行を妨げているのではといった指摘もあり、「いつまで低価格で請け負ってもらえるのか」といった、自治体の契約担当者の声も聞かれる。

     「再配達はしない。うちの従業員を謝りに行かせることになり、できない」。兵庫県宝塚市の契約担当者は一昨年の10月末頃、市の広報誌の宅配業務を委託した大阪市内の物流事業者にそう宣告されたという。ふた月半ほど前の入札を経て結ばれた契約が破棄された瞬間だった。

     契約課によると同市は10年以上前から、「広報たからづか」などの宅配業務を、入札によって物流事業者などに発注している。発行部数は10万5000部。原則、各戸のポストに投函する業務だ。オートロック式のマンションなど投函が難しい場合、管理人に事前に連絡するなどの手順で投函業務をこなす旨などが仕様書に記載されている。

     同課によると、一昨年10月末、翌月号の広報の宅配時にトラブルが起きた。届いていないという苦情が多数寄せられたという。同市が探ると、配達に当たった物流事業者がマンションなどの管理人に無断で広報誌を置き去りにしたことなどによる未配達が原因と判明。再配達を要請したものの、「できない」と事業者は回答したという。事業者はその年の8月に市と初めて宅配契約を結んだばかりだった。宅配単価は一部当たり6・3円。

     翌月以降の配達業務もこなせなくなったことから市は、別の物流事業者を急きょ探すことに。そのため、単価は同8円に引き上げられた。契約課の中西聡課長は、「市民の税金を使って宅配をしている。1年契約の残りの11か月分、急きょお願いすることで高くなった分は市の損害とみなさざるを得ない」と話す。市議会の決議なども経て約1年後の昨年11月、債務不履行を原因とする損害賠償訴訟を大阪地裁に提起した。同課長によると、「市の示す仕様書に不備があり、宅配業務の準備費用などに損害がある」との理由で、物流事業者側が反論しているという。

     仕様書に記載された内容での業務の履行ができないケースは、ほかにもある。宝塚市にも近い兵庫県南東部の市が発注した、「事務所の移転」作業もその一つだ。この業務を受注したのは、西日本に本社がある大手物流事業者。関係者によると移転作業が遅れたことで、移転後の市職員の整理作業も遅れてしまった。関係者は、「市職員の残業時間分の手当てなどを考えたら、市に損害が生じている」と指摘する。

     この事業者による落札額は94万8000円。応札した他社の平均入札額は188万円で、平均額のおよそ半値だ。関係者は「入札によって安く発注できたとしても、そのしわ寄せが受注事業者のみならず市の現場にまで及ぶ」と、安値で発注できる仕組みとしての入札制度の見直しも必要との考えだ。

     
     
     
     
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