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物流ニュース
IoTやAI技術を駆使 人手不足対策に活用
2018年5月24日
物流業界の人手不足は相変わらずで、業界の有効求人倍率は3倍近くをキープしている。人手不足解消に向けた活動を業界で続けていくのも重要だが、ドライバー人口が減り続け中でも、安全確保や効率化に加え、ドライバーのスキルアップを実現することが事業者に求められる。これが課題ではないだろうか。今回は、IoTやAI技術などを駆使し効果をあげる事例について話を聞いた。
NEC(新野隆社長、東京都港区)は、ドラレコで取得した運行データや危険運転映像を一元管理するサービス「くるみえ」を提供している。同サービスではデータのクラウド化と併せて、移動履歴や得意先情報、GPSで記録したヒヤリハットなどイベントを地図上に表示し、事故対策に向けたデータ収集を効率化させてくれるほか、日報など書類作成時間を減少させてくれる。実際に大阪府にある生活インフラ企業のグループでは700台以上に同サービスを展開。社内ポータルで運転データを共有しKYTに活用、また報告書にも映像データを活用することで、より客観的な状況報告を可能とした。
AIも物流業界での影響を強めている。AI業界で注目の的であるリトルクラウド(神原太郎社長、同新宿区)は、AI事業活用プラットフォームMiLAIを展開している。MiLAIは全国のAI技術企業が100社以上登録されており、各業界からのAI活用に関する要望を受け開発に向けたマッチングを実現してくれる。神原社長は「配車最適化をはじめ、物流業界からのご相談も、ここ半年でかなり増加した」とし、「例えば、配車最適化は『組み合わせ最適化』というAI技術を駆使している。これらはベテラン配車マンの確保・育成の難易度を考慮すると導入は必至となるのでは」と話す。実際にMiLAIを通じて開発依頼を受けた関西の企業A社は、ある物流企業の荷待ち時間や配車の最適化を行い、必要な稼働車両台数を最大50%まで削減することに成功。稼働時間も最大35%削減することに成功している。
物流システムの開発・販売・保守サポートを行っているシーネット(西村正哉社長、千葉県船橋市)では、ここ1、2年でWMS導入への問い合わせが多く、実際に成約に至っている案件が増えているという。内野靖常務は「生産性を上げることで、人手不足を補いたいと考える企業で積極的に採用されている」と話す。
特に物流会社では、取引先となる荷主を増やしていくためには、人を増やさなければ対応できない。こうした「荷主に人材をつける」という発想から、WMSを導入することで、「システムに合わせて荷主を増やしていく」という発想に切り替えなければ、人がいくらいても足らないばかりか、サービスの品質を保つことも難しくなる。内野常務は「年々、選択肢として出てきたものに、聞くだけで仕分け作業ができる『音声認識システム』がある」とし、「WMSの一つの付属製品だが、限られた人数でも対応できるように効率化を考える企業が増えている」としている。
物流自動化システムの情報および装置制御ソフトウエアの設計・開発・保守サポートを行っているムラタシステム(石山敏彦社長、京都市南区)では、荷主と物流倉庫の間を結んで、全てのシステムを連携することで効率化を図る。ソリューションビジネス部の湯川朗人係長は「ベテランでなければ難しい運行管理業務を、誰でもできるようにする配車支援ソリューションを提供している。業務の効率化で、1人に対する負担を軽減する」と話す。同社では、マテハン機器が絡まない平置きメインでのWMSを提案しており、「秋には、倉庫ソリューションや配送支援ソリューション、店舗ソリューションを連携し、トータルで提案を行う」考えで、「窓口を一つにすることで手間やコストを軽減する」としている。
また、メーカーと小売り店の販路開拓から決済までを一貫して行っている「スーパーデリバリー」を運営するラクーン(小方功社長、東京都中央区)では、企業間取引の請求から代金回収までを一括で行う「Paid」を提供している。大橋正人副部長は「求荷・求車マッチングサービスから『Paid』導入の問い合わせが多くなっている」とし、「未回収のリスクをなくすほかに、経理や営業などでは簡単に人を増やすことができないため、請求書の発行業務、入金確認などの業務効率を高めたいとする目的から問い合わせが増えている」としている。
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