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物流ニュース
ミッション数めぐりトラブル ディーラーと運送会社
2018年7月12日
コミュニケーションの食い違い、と一言で片付けられない販売や修理の実態が、一部のトラックディーラーに見られる。販売、修理の契約当時に、どのようなやり取りがあったのかを示す証拠にこそ乏しいものの、行き過ぎた、もしくは逆になさ過ぎた当時の説明に、顧客の運送会社が翻弄されてしまったと見られるケースだ。運送会社側も長年の取引に安住した結果、説明を鵜呑みにしてしまったことに「書面を残しておく必要がある」と反省し、今後は厳しい姿勢で臨むつもりだという。
近畿地方のダンプ事業者は2 0 1 3年、2台の大型ダンプを購入した。その際、事業者は従来の「7段ミッションのリターダ付き」を求めても、「うちは今後、16段、リターダなしの方針」。当時ディーラー担当者から何度もそうした説明を受けた。
いち早く16段ミッション・リターダなしダンプを購入した同業者に話を聞くと、「1年と経たないのにミッション交換になった」と当時聞かされた。迷った揚げ句、事業者はやむなく16段を購入。この5年間で1台は3回、もう1台が4 回のミッション交換が必要になった。通常3年は持つブレーキライニングも、1年1回の交換が必要になった。ミッションからは常にガリガリといった異音が聞こえる。頻繁なギアチェンジがたたり、金属片がギアにかんでいるのでは?
そうした観測を裏付けたのが、この2台を運転し、5年間で計6 人が辞めて行った乗務員からの証言だった。事業者が乗務員に聞くと、「(補助ブレーキの)リターダがないので下り坂が怖い。フットブレーキをよく踏む」「4段から5段にギアをチェンジするとき、構造上、一瞬の間が空く。上り坂での空いた間の失速を防ぐためのギアチェンジ作業で手が痛くなった」。山の上り下りが多いダンプ特有の走行に、16段リターダなしが合わない――。事業者は自身でも山道を走行してみてそう思い知った。
そんな中、昨年初めごろから同型ダンプに7 段ミッション、リターダ付きが復活した。数年前、「今後は16段しか出ない」と言った担当者からは、復活したことに関する明快な説明はいまだに得られていないという。「当初から欲しくないと言っていた型のダンプを買ったのは、今後7段が出ないと担当者が言ったからだ。買い取ってほしい」。事業者は、新型ダンプに乗り換えることを約束し、買い取りを要求したが、走行距離約20万キロのダンプにつけてきたのが400万円ほど。誠意が感じられない対応だったと事業者は話す。
事業者は、「ダンプ業界は、高速道路建設などで、ここ数年はバブル状態だった。いいわ、いいわでやってきたので書面も残っていない」と反省し、今後ディーラーとの交渉を詰めたものにしていく意向だと言う。このディーラーを通じてダンプを販売したメーカーは本紙の取材に、「他の技術との兼ね合いもあるため、ミッションは今後、これしか作りませんなどとは言えるはずもない」などとし、顧客との商談に当たるディーラー担当者の教育に力を入れたいとしている。
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