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物流ニュース
効果的な人材募集 マイナスイメージの払拭を
2018年7月17日
物流業界のイメージはけっして良い方ではない。稼げる業界との認識も、今では単に「きつい、危険、きたない」といった3Kのイメージの方が強く、こうしたマイナスイメージが業界の人材獲得に少なからず影響を及ぼしている。このような状況のなか、効果的な人材募集の方策はあるのだろうか。
死傷者が出た長距離バス事故の影響で、「過酷な職業」というイメージが持たれるようになったバスドライバー。バス業界では、人材を募集する上で、どのような方策をとっているのだろうか。都内・近郊定期観光バスをはじめ、路線バス受託事業やホテル事業などを展開しているはとバス(中村靖社長、東京都大田区)。同社が抱える観光バスのドライバーは現在、152人(うち女性が1人)で、予定人数の160人には足りていない。
観光バス事業本部・運輸部運転課長の服部靖彦氏は「一連のバス事故による影響で、以前よりは応募が減っている」として、「マイナスイメージを払拭するため、6月にはホームページをリニューアルして、仕事内容などを詳しく紹介するようにした」としている。12月に開始した24時間対応のメール受け付けとホームページのリニューアルで、ドライバー職に関する問い合わせは少しずつ増えており、人材募集の方策として一定の効果を得ることが確認できた。また、「採用については継続して行っているが、採用した分だけ辞める人もいる」として、「初期教育や育成に力を入れて定着率を高めるほか、女性の採用を増やすために施設の整備も検討している」という。
物流業界でも同じように、人材確保のための方策として、教育や育成に注力している事業者がある。3温度帯輸配送と食品に特化した3PL事業を行っているTAKAIDOクールフロー(飯田勇一社長、同杉並区)では、新入社員・若手向けに社会人としてのキャリアアップ、育成、指導を目的とする「高井戸大学」を研修の場として行っている。
高井戸大学は今年、推薦枠を設け、4期生として10人が集まった。飯田社長は「毎日同じことの繰り返しでは、仕事が楽しくなくなるので、長続きはしない」とし、「仕事を楽しくするためには、収入を増やしたり、職場内で高い地位を目指すことができるといった、明るい未来がイメージできなければだめだ」という。自分自身のステップアップを考えることができる会社、つまり将来展望ができる会社には、向上心があって長く働きたいという人が集まって来る。飯田社長は「未来や希望が持てる会社には、人材が集まってくる」とし、「そのため、ステップアップの道筋となる教育と育成に力を入れている」と話す。
「この秋からは、スキルアップセミナーを開始。高井戸大学をグレード1とすると、スキルアップセミナーがグレード2。最終的には、経営層を目指す講座としてグレード4まで作る」としている。物流業界のイメージを変えていくためには、こうした取り組みをPRしていく必要がある。そのため、同社では仕事内容や会社について、具体的にわかりやすくパンフレットにまとめ、高等学校や就職セミナーなどで配布していく考えだ。
軽貨物配送をメインに、倉庫保管・発送代行、DVD・CD制作、プラスチック製品企画販売などを行っているアート・プラ(横田浩祟社長、同江戸川区)は、採用に対する応募者が増えている。同社では4年前から、インターネットを利用した採用に力を入れている。利用しているのはYouTubeで、会社の紹介から仕事に関する情報、面接などでよく質問される内容に対する答えなど、6000本近くのオリジナル映像を配信している。
横田社長は「今年に入ってYouTubeにLINEを加えたことで、応募数が3倍から5倍に増えた」とし、「応募者も会社や仕事内容を理解したうえで面接に来ているので、こちらが選べる状況になっている」という。
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