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物流ニュース
新たなビジネスモデルで成長 デリバリーに見る人材確保
2018年8月20日
Eコマースや食品などの宅配市場が成長を続けている。この市場が成長し続けるために、商品を届けるドライバーや配達員など、運び手の確保が最も重要な課題となっている。運送事業者の多くが人材を確保するために、運賃の値上げや働き方改革などを進めている。そうしたなか、新たなビジネスモデルで宅配市場に参入し、成長している企業がある。
Eコマースの宅配が大きな市場となる以前から、宅配といえば飲食店の出前が主流だった。かつてのように盛んではないが、今も出前事業は行われている。宅配ポータルサイト「出前館」の運営を行っている夢の街創造委員会(中村利江社長、東京都千代田区)は現在、出前サイトでナンバーワンの規模と業績を誇る。同サイトには1万6000もの飲食店が加盟し、注文から最速20分で届くEコマースとして業界で注目されている。前例のないビジネスモデルだったため、創業当初はなかなか受け入れられなかったが、順調に拡大を続けている。
同社では、自店で配達するという宅配モデルに、シェアリングデリバリーの仕組みを組み合わせ、宅配の足を持たない飲食店の宅配代行を行うことで、利用者が使いやすく、飲食店も運用しやすい宅配モデルを構築。利用者が出前館のサイトで注文すると、その注文内容が宅配代行会社と飲食店に伝達され、代行会社が加盟飲食店をピックアップして利用者に届ける仕組みだ。このシェアリングデリバリーを用いることで、オーダー件数が増加。出前館のシェアも現在7%と少しずつ増えている。経営企画室の清村遥子マネージャーは「まだまだ電話注文の方が多いが、オンライン注文のマーケットは確実に増えている」としている。
シェアリングデリバリーで要となる宅配代行拠点だが、「時速15キロを10分で到達する圏内に宅配代行拠点を置いているが、人口が多いエリアでは、これをさらに狭くすることで効率化を進めていく」考えだ。また、より多くの人材を確保するため、女性や高齢者、車の免許を持たない人も活用できるように電動自転車を導入し、人材不足に対応。エクササイズの代わりにという女性や、高齢者も数人働いている。同社では宅配代行拠点を8月末までに、累計で60拠点オープンするとしており、来期は100拠点以上を目指す。
一方、これまで日本になかったビジネスモデルで、宅配市場に参入してきた外資系のサービスがある。それは、メイド大国シンガポールで生まれた買い物代行コンシェルジュサービスだ。サービスを展開しているのが、2015年にシンガポールで創業したオネストビーで、17年に日本法人(宮内秀明カントリーマネージャー、東京都江東区)を設立した。
ネットスーパーの宅配のようなイメージがあるが、内容は全く違うものだ。同社のサービスはエリア限定で、地域密着を特長としている。基本的には半径5㌔以内のスーパーマーケットや地域内にあるローカル店舗の商品を、アプリを通じて購入することができる。この限定したエリアをハブと呼び、このハブが同社のサービスエリアとなっている。
こうしたエリアの設定は、普段地元で買い物をする際に動く行動範囲が基準となっている。宮内マネージャーは「テクノロジーを使って地元のものを地元に届けることで地域活性化にも貢献できる」とし、さらには「エリアを決めることで、配達員も無駄なく効率的に配達できる」としている。また、「人手不足と言われているが、新しいプラットフォームを用意して新しいやり方を導入するなど、時代の変化に合わせて対応すれば、人は集まる」とし、「実際に当社には多くの人が応募している」という。
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