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物流ニュース
家電配送に混乱 エアコンが過去最高の出荷台数
2018年9月3日
異常気象に見舞われた7月。上旬には、西日本地域を中心とした全国的に広い範囲で、48時間、72時間雨量の観測史上最大値を更新した西日本豪雨。同月9日以降の梅雨明けから始まった全国的な猛暑。9月中旬ごろまで気温の高い日が続くと予想されている。この猛暑の影響で、7月の家庭用エアコン出荷台数が176万3000台と統計開始以来、過去最高を記録(日本電機工業会)。エアコンの取り付けや修理が追いつかない状況が続いている。
自主統計で冷凍空調機器の中期需要予測を行っている日本冷凍空調工業会は「これだけ猛暑が続くということは、予想できなかった」とし、「家庭用と業務用どちらも想定外の出荷台数となった」とコメント。同業界が8月23日に発表した出荷実績では、家庭用エアコンの国内出荷実績は176万3464台(前年比110・9%)で、業務用エアコンは9万7141台(同109・7%)だった。
こうしたエアコン需要に対し、家電量販店大手のビックカメラ(宮嶋宏幸社長、東京都豊島区)は、「一般向けと法人向けを合わせた今夏のエアコンの販売金額は、6月と7月の合計で、前年比1割程度の増収となった」としている。その要因について同社では、「6月は関東で史上最速の梅雨明けとなり、最終週から猛暑日が続いたこと。7月は前半が、西日本豪雨など天候不順の影響があったものの、後半の厳しい暑さとなったため」と分析している。
エアコン配送については、「猛暑で需要が集中した7月中旬以降は、購入から配送まで半月程度の日にちを要する地域があった」とし、「スムーズな配送の実現が、今後も継続したテーマとなる」としている。
このように、通常の繁忙期よりも出荷数が大幅に増加することで、配送にも混乱が生じている。大手家電量販店と取引のある事業者と協力関係のある新郷運輸(赤城義隆社長、埼玉県川口市)。同社では、工事が必要となるエアコンの配送は行っていないが、冷蔵庫や洗濯機などの家電配送を行っている。暑いと壊れやすくなる冷蔵庫などの白物家電も例年に比べて取り扱いが多く、毎日フル回転で配送を行っているという。
エアコンの配送について、赤城社長は「協力関係にある事業者からは、繁忙期に来ていた地方の事業者が来なくなったと聞いている」とし、「家電量販店の配送に比べて、運賃が高いオリンピック関係の仕事に、人がとられている」としている。ドライバーの確保が難しい状況で、取り付け業者も足りず、例年に比べて2週間待ちの状態が続いている。また、「部材業者の話によれば、銅の値上がりで、エアコンの取り付けに必要な銅製部品を自前で用意しなければならない家電量販店の仕事から、支給してくれる工事関係の仕事に移る事業者が増えていることも、配送が遅れている要因だ」という。
同じく、家電配送を行っているリープ(同春日部市)の森本正宏社長は、「協力会社から、この猛暑の影響でエアコン配送は前年より30%増しだと聞いている」とした。エアコン配送は季節もので、繁忙期と閑散期の差が大きい。配送も工事も人手が不足しているため、繁忙期のみ家電量販店のエアコン工事を請け負うだけでは会社の運営が厳しくなる。そのため、家電量販店の配送業務から離れる事業者も少なくはない。
そのうえ、「最近のエアコンには、いろいろな機能がついているので重くなってきている」とし、「1人で取り付けられたものが2人になるので人件費も上がり、価格が上がらなければ利益がでないので、仕事を請け負えなくなっている」という。
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