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物流ニュース
時間外配達で再配達減 利用者・運転者双方の負担減らす
2018年11月20日
EC(電子商取引)市場が急速に拡大している。2017年のECに関する経済産業省の市場調査によると、国内の消費者向けEC市場は16兆5054億円(対前年比9・1%増)で、今後もさらに成長が続くと予想されている。こうした宅配荷物の増加によって生じる、再配達や残業が宅配業者にとって人手不足の原因になるなど、大きな問題となっている。
EC通販などの利用者は、仕事などの事情で朝から晩まで家を空けているケースが多く、帰宅する頃には、すでに配達時間帯が終了しており、宅配荷物をなかなか受け取ることができない。こうした状況で、大手宅配企業では「働き方改革」を促進するため、当日配達の受付時間や配達時間を制限せざるを得なくなるなど、宅配荷物を取り扱く環境は、利用者にとって不便なものとなっている。
倉庫業をメインにロジスティックスサービスを提供しているライフポーター(八反田大作社長、千葉県浦安市)は、地域住民や地域の事業者で働いている宅配利用者から「遅い時間での宅配荷物の受け取りができれば」といった要望をキャッチ。こうした現状を踏まえ、同社では11月から、自社倉庫を最大限に活用した新サービス「倉庫コンビニ〝あずかり君〟(仮称)」を開始。個人・法人を対象に、施設私書箱並びにカゴ車を活用したトランクルームを提供するほか、地元浦安市内限定で個人向けの宅配業務の代行などを行う。
新サービスについて、八反田社長は「24時間稼働している倉庫の空きスペースと作業人員を最大限に活用することができるだけでなく、利用者の利便性が高まることで再配達を減らし、交通渋滞の解消にもつなげたい」と考えている。
そのうえで、「物流業界全体でサービスの高度化や複雑化が進むなか、中小規模の倉庫会社が行き抜くために地元密着のサービスに特化し、倉庫会社ならではの優位性を高めていく必要がある」とし、「将来的には、全国各市区町村の倉庫のネットワークを構築することができれば」と考えている。
同社の新サービスは、「全国の企業を対象に、浦安市内限定で個人向け宅配業務を代行」するほか、「個人は月額2500円から、法人は同1万円からで私書箱を提供し、別途料金で浦安市内を限定とする24時間、年中無休の転送(配達)サービス」を行う。
さらに、「個人・法人を対象にカゴ車を活用したトランクルームを提供。別途有料で浦安市内限定の年中無休転送(配達)サービス」「私書箱及びトランクルームを利用する個人会員・法人会員の各荷物の全国発送サービスを提供」など4つのサービスからなる。
一方、6人のエンジニアが集まって、GPS情報や在宅情報を使った宅配アプリの開発を進めているニーマルナナ(高柳慎也社長、東京都)では5月から、LINEボットを活用した夜間の配達代行サービス「TODOCU(トドク)」の実証実験を行っている。
同サービスは、「利用者とドライバーの双方に負担となる再配達を無くしたい」というミッションによって開発されたもので、既に事前予約の段階で500人のユーザーが登録・利用している。渋谷を中心とした限られたエリアで提供しているサービスで、朝早くから夜遅くまで在宅していない人向けの夜間の荷物配送を行っている。
利用者が、LINEボットを活用したアプリに住所を登録すると、近くのオフィスや遊休資産を利用した専用倉庫の住所が自動的に割り振られる。EC通販で購入した商品は専用倉庫に届き、商品到着情報が利用者に通知される。
利用者から配達のサインが来たら、指定時間に商品を配達するという仕組みだ。渋谷の他に、横浜でも実証実験が決定している。
高柳社長は「夜間の配達代行サービスは事業として今後も展開していくが、今やろうとしている実証実験は、TMS(輸配送管理システム)と私たちのシステムを連携させて在宅情報を付与することで、ドライバーが在宅情報をもとに確実に荷物を届けることができるようにすること」と話す。
このシステムを物流事業者並びにラストワンマイル事業者に提供することが目標としているところで、TMSと連携できれば無駄が無くなり、配送効率が高まって、再配達を減らすことが出来ると考える。
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