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物流ニュース
早期復帰・安全確保が課題 災害時、宅配事業者の取り組み
2018年12月28日
2018年は台風に伴う強風・豪雨による被害が各所で報告された。被災地では物流業従事者も被災者となりがちな一方で、緊急時には生活インフラに関わるプロとしての活躍も期待される。そうした中においては、早期復帰・自社従業員の安全確保などが課題となる。
買い物弱者に寄与 するソーシャルビジ ネスとして買い物代 行サービスを全国展 開するジーニー(河 合秀治社長、東京都 中央区)は2018 年の台風被害から、 一部エリアを配達中 止とした経験を持 つ。該当エリアの 顧客から配送を望む 声はあったものの、 配送するための食品 が災害で届かず、断 念するほかなかった という。現在は業務 を再開しているもの の、まだまだ復旧途 中にある顧客も少な くないそうだ。 被害に遭ったジー ニー広島の担当者は 「一刻も早い復帰と 支援を実現するため にも、ご用聞き・商 品お届けを担当する ハーティストの安全 確保が必要不可欠」 と話す。同社ではこ うした事態を想定 し、各車両に災害 マップを装備。警報 が発令された場合・ 避難勧告が発令され た場合などへ向けた 緊急時対応マニュア ルとしての役割はも ちろん、平時の配送 でも危険箇所を確認 できるようにしてお くことで、それぞれ の対応力を強化する 狙いがあるという。
加えて通信が遮断 されることも想定 し、伝言ダイヤルも 用意されている他、 各店舗も避難場所と して活用できるよ う、宿泊設備などを 用意。担当者は「対 策は我々でも講じて いるが、基本的には 現場仕事な部分もあ り、現地では様々な 事態が予測される。 緊急時は安全第一と し、各自の判断を大 事にするよう伝えて ストのメンタルケア 強化といった取り組 みを続けている。
高齢者向け弁当の 宅配サービス「宅配 クック123」を運 営するシニアライフ クリエイト(高橋洋 社長、東京都港区) も、福岡県久留米 市・広島県倉敷市で 被害を受けた。同社 では震災発生直後か ら食料支援に向け て動いており、高橋 社長も被災地へ支援 に向かった。その際 は近くの空港から道 中の小売店で300 食以上の食料品を買 いつつ被災地へ向か い、無償で提供した という。現地ならび に他の地方の社員も 支援に協力。倉敷市 の担当者などは、自 宅が床下浸水しなが らも、市の要請を受 け避難所に10日間通して食料を配達し被 災者へ尽くした。なお、現地では緊 急案件対応のため2 人を新規雇用。この2人は現在も同社で活躍中とのことだ。また、通信が繋がらないにも関わらず、現地店舗の従業員に加え、鹿児島店をはじめとした各店舗からの応援が集まったケースもある。
倉敷市で支援を行っていた同社宅配クック123第2事業部の若藤勇介氏 は、「企業全体での協力体制を敷くことで、店舗の早期復旧 に向けた作業を行いながらも、顧客一人ひとりの安否を確認し、食料品の配布をはじめとした緊急支援の両立を実現できた」と話す。久留米市などは食料配達を行いながらも、完全浸水していた店舗を5日で復旧させている。これらの背景として同氏は「定期的に社長の思いを伝える機会を設けており、社長と理念を共有できていた人材が多数存在したことが、自発的な協力を促した理由ではないか」と、分析している。 しかし、素早い対応ができたものの震災で、同社物流拠点と地方店舗とのネットワークが途切れてしまった例もある。 これを受け、同社では物流拠点の分散と自社物流の効率化を検討課題としているという。 同社営業企画部課長の清水勝氏は「まだまだ検討段階であり、実施は決まっていることではないが、仮に各地方への施設の分散が決まればアウトソーシングを活用した拠点も視野に入れる必要があるのでは」とし、合わせて「生活インフラを支える企業として、課題は山積み。時間もかかるかもしれないが、解決に向けて一つずつ取り組んでいきたい」と話している。
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