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    災害対応を振り返る 各業界企業の取り組み

    2019年1月10日

     
     
     

     2018年の世相を表す一字は「災」。自然災害による被害が各所で報告された年であった。物流業界でも、様々な被害が生じた。物流事業者に限らず、今後の災害対策の必要性を痛感した企業も多いのではないだろうか。今回は各業界の企業に、災害への対応について話を聞いた。

     石油業界では、災害時に経済産業大臣が「災害時石油供給連携計画」の実施を勧告すると、情報収集室・緊急要請対応室などを備えた共同オペレーションルームが、石油連盟(月岡隆会長、東京都千代田区)に設置される。ここでは、各石油元売り企業や資源エネルギー庁の担当者が一堂に会し、被災地の被害状況や配送状況などの情報を共有しながら、被災地への燃料供給に向けた対応を行う。過去の震災時には、配送量の増強といった対応のほか、国に対しても要請を行ってきた。

     石油連盟の広報担当者は、「国から被災地へ一刻も早く燃料の供給を、との要請があるなかで、タンクローリーの優先通行がなされず、現地までの配送に時間がかかったケースもあった」とし、「災害時における被災地への燃料供給を速やかに行うためにも、タンクローリーの優先的通行の重要性について各地方の行政、道路管理者などとも共有し、万一の事態にも速やかに配送できるようにしていきたい」としている。

     また、災害対応に伴い長時間労働となってしまったドライバーのケースもあり、担当者は「働き方改革が進む中、災害時だからと残業・長時間労働が認められるかは定かではない。しかし、ドライバー不足の中でも被災地では燃料が求められることに変わりはない。今後、安全確保を考慮しながら、どう対応していくかが課題」とコメントしている。

     木材・建築資材の専門家であり、免震に特化した住宅を全国へ提供するナイス(杉田理之社長、横浜市)は被災地へ良質な仮設住宅を提供したことでも知られているが、他にもこれまで、社内外両面で数多く災害対応を行っている。

     同社は「お客様の素適な住まいづくりを心を込めて応援する企業を目指します」といった企業理念と共に、「社員の家族は仲間」「お客様や仕入れメーカー様はパートナー」をモットーとし、災害対応を行っている。住まいの耐震博覧会を開催している同社らしく、自然災害を想定した自社施設が、帰宅難民の避難場所として活用された事例もある。

     支援物資の輸送や仮設住宅の提供をはじめとした活動はもちろん、被災した仕入れ先・顧客などの関係各所への徹底サポートも行った。遠方地からは船舶を利用した物資輸送も行っており、現地配送の協力に赴いたトラックも存在する。

     同社執行役員の村瀬順氏は「社員、家族はもちろん、周辺住民の皆様のお役立ちも考えている」としたうえで、「お客様はもちろん、仕入れメーカーや協力企業などがあってのナイス」とし、またBCP対策についても「当社の活動に圧倒的な協力をしてくれる協力会社を持っていることが大きな強み」と力を込める。

     さらに、同社の災害活動を支えるものに、全国のプラットフォームと物流ネットワークがある。各所に配置された緊急備蓄品などは現在までに数々の貢献を果たし、どこかの物流センターが被災しても最寄りのセンターがバックアップする。被災地における顧客・仕入れ先の物流サポートにも生かされたという。海外の自社物流拠点から飲料水を運んだこともある。

     ダイナム(藤本達司社長、東京都荒川区)の物流部は、平時から同社の福祉活動に伴う機材輸送を行うなど、会社全体のCSR活動を後押ししている。災害時も、同社が店舗敷地、駐車場を臨時のゴミ収集所・支援物資集積地などとして開放する中、物流部の社員もボランティアに参加したほか、災害によって店舗に発生した廃棄物の回収に自社便車両を活用するなど様々なシーンで活躍した。

     同社では今後、災害対策として自社倉庫を設置するなど各拠点に災害用の備蓄品をストックしていく計画が検討されており、行政側の許可・判断を仰ぎながら進めていく方針だ。加えて今後の災害対策強化と環境対策の取り組みとして、海上輸送の導入を進めている。

     この取り組みは2018年の台風・豪雨で鉄道網が分断された事態を受け、実施されたもの。すでに福岡から札幌の輸送で実証実験を行っており、物流部の担当者は「すでに実施している鉄道輸送に比べても、コストが低く、スケジュールも納期のコントロールは必要であるが、鉄道より安定しており、荷扱いも精密機械に適している」と話す。陸上でも、使用車両の大型化とドライバーの事故防止研修が進められており、平時・緊急時に、より少ない人員で多くの商品や物資を運べるように工夫が行われている。

     パン・アキモト(秋元義彦社長、栃木県那須塩原市)は自社製品である、パンの缶詰を活用して「救缶鳥プロジェクト」を展開している。同プロジェクトは企業などの災害用備蓄品としてパンの缶詰を販売しつつ、賞味期限が残り1年となった際には回収依頼を行っていくというもの。

     回収した缶詰は、今まで被災地や海外の飢餓が問題視される地域へ送られている。また、それ以外にも、自然災害のあった地域の近隣へ依頼して、支援物資として提供する活動も行われている。

     近年の国内災害でも、企業からのメッセージやロゴが記入された缶詰が送られ被災者からは喜びと感謝の声が絶えなかった。こうした支援物資の物流には、普段から備蓄スペースを無償提供している物流企業も関わっている。また、平時の配送についても、物流企業へ配送と同じ便で回収も依頼し効率化を行っている。

     なお、倉庫業青年経営者協議会とも協力体制を敷いており、ネットワークを生かした緊急時の取り決めが交わされている。同社は、こうした活動を評価され、第5回グッドライフアワード環境大臣賞最優秀賞を受賞している。

     同社の秋元信彦氏は「パンの缶詰は非常用食料品でありながら、災害救助に関わる企業の社会貢献を後押しできる。今後も様々な地域で災害発生の危険性があり、日本人はもちろん、訪日外国人の安全確保の問題もあって、パンの缶詰にも外国語対応のものが生まれている。それぞれの地域で困った方々を助けられるよう、各地のトラック事業者や団体の方々と手を結び、一緒に災害対策に力を入れていきたい」と話す。

     
     
     
     
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