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物流ニュース
ロボットによる省人化 物流施設で普及が加速
2019年1月28日
人材不足が深刻化する物流業界では近年、増え続ける取扱量に対応していくため、ロボットによる省人化が進められている。だが、物流のロボット化に関しては中国が圧倒的に進んでおり、日本はまだまだこれからという状況にある。グローバルに展開している荷主サイドでは、世界各国で同じオペレーションコストを維持するために、中国の物流会社をそのまま日本に連れてきてオペレーションを行うことも、現状のままでは起こり得る可能性がある。実際に、自動化の設備のほとんどがメイド・イン・チャイナであり、荷主の意向次第では十分に考えられる展開だといえる。
中国のロボット化について、中国で物流ロボットの製造・販売を手掛ける中国ギークプラスの日本法人ギークプラス(千葉県印西市)の佐藤智裕社長は「弊社の数字でみると、中国と日本では物流施設のロボット化の台数比率が9対1で、大きな差がある」という。「物流施設の自動化に関しては世界的に見て、中国が飛び抜けている状況」とし、「日本では2015年から17年くらいまでは、自動化に対する意識は低かったが、昨年末くらいには意識が高まってきている」としている。
同社のロボットを導入し、積極的に自動化を進めてきたフルフィルメントプロバイダーのアッカ・インターナショナル(加藤大和社長、東京都港区)では、投資効果が着実に出て、新しい仕事も増えているという。佐藤社長は「日本でも、物流倉庫をはじめ、製造工場などのロボット化、自動化の波が来ている」とし、「今がまさに、今後の発展につなげる投資のタイミングではないかと思っている」としている。
日本では、ロボットによる省人化や自動化といった投資を積極的に行うことができる荷主企業は多くはない。物流を自社で構築するのは今後、ますます難しくなると予想される。そのため、物流商社のフジテックス(大越卓社長、同新宿区)では5月から、国内初のロボット導入物流施設の紹介サービス「ロボット倉庫マッチング」を開始。人手不足問題を抱え、自社でロボット導入が難しい荷主企業に対して、省人化ロボットを導入した物流会社を紹介するサービスを提供する。
一方、ロジテック(物流×テクノロジー)カンパニーのGROUND(宮田啓友社長、同江東区)では、未来型の物流シェアリング施設の構築のために、大和ハウス工業(芳井敬一社長、大阪市)にソリューションやソフトウェアなどを提供することになっている。宮田社長は「物流を自社で構築するのは難しくなっていくのではないか」としたうえで、「物流シェアリング施設は常に最先端のソリューションで、使った分だけの従量課金でリソースの心配をする必要もなく、作業員を雇用する必要もない」としている。
また、同社では「あと2年後ぐらいに、自律型協働ロボットの国内需要のピークが来る」と予想しているため、今年の夏からSLAM技術を使った自律型協働ロボット「AMR」の発売開始を目指している。さらに、ロボットの開発で難しい「つかむ」という部分では、多種多様のものがつかめるアメリカのソフトロボティクス社の「スーパーピック」を日本で初めて提供することができる代理店となった。
それから同社では、AI物流ソフトウェア「ディアス」をオリジナルで開発している。WESという概念に基づいてつくったもので現在、トラスコ中山(中山哲也社長、東京都港区)と共同実証を行っている。内部データ(在庫情報、リソース、受注・出荷情報など)と外部データ(SNS、天候、店舗・オンラインストアからの情報など)を蓄積・統合・解析して物流倉庫における最適な在庫配置とリソース配分を可視化する。
このように、国内でも省人化に必要な技術開発については、日進月歩で進められており、ロボット倉庫マッチングやシェアリング施設のようなサービスも誕生している。グローバルな視点で見ると、スピード感も大切になる。
FIG(村井雄司社長、大分県大分市)グループのciRobotics(小野俊二社長、同)では、AI搭載モバイルロボットダブルコンベア搭載モデルを提供している。省人化の実現に、ciRoboticsが窓口となって、同じくグループ会社のモバイルクリエイト(村井雄司社長、同)と石井工作研究所(佐藤一彦社長、同)の協力で、利用者の要望にあわせたロボットを、スピーディーにつくり上げることができる。
メリットは、グループ内で協業して一つのものを作り上げることが出来るので、早く利用者の要求に応えることができるということにあり、できるかできないかの判断も早い。石井工作研究所戦略事業部の奈須健主任は「グループ会社のそれぞれの強みと専門性を生かすことで、利用者が必要とするものをスピーディーに形にして提供することができるので、需要は増えている」という。
経済のグローバル化により、必要とされるのは世界と同じ水準であることと、物流においては同じオペレーションであることが重要。荷主企業の意向次第では、日本に中国の物流会社が進出してくる可能性もあるかもしれない。ロボットによる省人化は世界的な流れとなっているのだ。
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