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    国際コンテナ統計、内貿分増加 奇妙さ浮き彫りに

    2019年2月4日

     
     
     

     毎月勤労統計調査をめぐる厚生労働省による不正統計問題を受け、いま「統計」に視線が集まっている。統計数値を意図的、あるいは恣意的に操作することによって、統計値を基にした給付金額などの引き上げ・引き下げが、経済実態とは違ったところで可能になってしまうなどの影響があるからだ。総務省は1月24日、統計法に基づく基幹統計について、「点検および今後の対応」策を公表し、物流関連でも「港湾統計」「自動車輸送統計」に、公表手法などの手続き上の不備があったことを発表した。今回は港湾統計に着目し、その政策的に妥当な数値が統計として現れているのかを検証する。

     「総コンテナ取扱個数が震災以降、最高になりました」。神戸市はここ数年、24年前の阪神淡路大震災で大きな被害を受けた神戸港の復調を象徴付ける発表をしている。それを受けた報道でも「コンテナ個数過去最高」などの見出しが躍ることがしばしばだ。

     20フィートコンテナ1個の取り扱いを1TEUと表すコンテナ取扱個数は、港湾統計調査で示されている。神戸市などの港湾管理者は国土交通省からの委託を受ける形で統計調査に当たっており、管理する港湾の港勢をPRするかのように、国交省よりも早く「速報値」という形で発表することが多い。

     個数を、純粋な海外貿易分と、内航船舶によって神戸港を出入りした内貿分に分けると、奇妙さが浮き彫りになる。神戸港では、コンテナ取扱個数に占める内貿分の割合が高まっている。05年にはその割合が20・0%だったが、14年には27・6%にまで、17年でも24・2%と高くなっている。つまり、扱った4つのコンテナのうち1つは内貿分だということだ。内貿分の割合が高まっているという現象は、東京港(05年=6・2%→17年=10・7%)や横浜港(同=5・4%→同=10・5%)などでも見られる。

     こうした国際コンテナ戦略港湾でのコンテナの取扱総数に内貿分が含まれる理由は、港湾統計の取り方そのものに起因する。港湾統計の目的は、「港湾の実態を明らかにし、港湾の開発、利用及び管理に資すること」(国交省・交通経済統計調査室)にあるという。また統計の性質について同室は、「コンテナという貨物に観点を置くのではなく、どこの港からどこの港にまで、何を運んだかという観点で見ている」と説明。つまり港湾統計は、あくまで港湾施策そのものであって、貨物の動きそのものをあらわすものではないのだ。

     また同室は、「統計を利用する人はそのように使っているものと思っている」としている。

     国際戦略港湾でのコンテナ貨物取扱量の数値が、見方によっては以前よりも「内向き」になっているとの指摘が上がっている。内貿の増加は、従来陸上輸送によって担われてきた部分を侵食しているとの指摘もあり、陸上輸送の事業者からは「国際的に戦略を持っているというよりむしろ、〝国内〟戦略港湾に成り下がっているのではないか」と揶揄する声も聴かれる。

     国交省港湾局の資料によると、戦略港湾選定時の2010年、年間の外貿コンテナ取扱個数は1685万TEU(1TEUは、20フィートコンテナ1個分)。その後、右肩上がりに推移し、14年には同1794万TEUにまで増加した。しかし、15年に1728万TEUにまで落ち込み、東日本大震災が発災した11年当時の水準(1751万TEU)をさらに下回った。16年に1750万へと持ち直した。

     外貿の落ち込みにも関わらず内貿コンテナの取扱個数が増えていることについて、コンテナの陸上輸送を担う神戸市内の運送会社経営者は話す。「我々陸上トラックがコンテナヤードに20フィートコンテナを持ち込んでも、港湾統計では1TEUも増えないが、内航船で運ばれたコンテナは1TEUとカウントされると聞いている」。

     この運送会社のある神戸市によると、国、神戸市、阪神国際港湾会社の3者で2016年度、港湾予算として計20億円の集荷事業が計上されているという。集荷事業の中には、韓国などの港を経ずして神戸港から輸出する国内荷主などに補助する補助事業が数多くメニュー化されている。

     ある関係者は次のように指摘する。「これまで陸上輸送だったコンテナを内航船で神戸港に持ってくるようなモーダルシフトには、さすがに直接の補助はないようだが、補助事業で潤った内航船会社が運賃を引き下げ、陸上輸送からモーダルシフトさせる原資には十分になりうる」。つまり、国や市などが税金を投入することで、陸上から内航船へシフトさせることには、国際戦略港湾そのものを推進する国から見ても政策合理的な動きとなりうる。「国内戦略港湾」の揶揄は、そうしたところからきている。

     税金の投入箇所を選定する際に、こうした統計数値のマジックが関与しているとすれば…。国交省HPには港湾統計の利活用事例として、「各年度港湾整備事業予算要求における貨物量関連説明資料」として「コンテナ取扱個数」も含まれるとしている。

     統計数値が一人歩きし、港湾が整備される影で輸送量減少のあおりを受けるトラック事業者の立場からみれば、統計の不正のみならず、なにを数値化しているのかに着目することの重要性は言を待たない。

     

     
     
     
     
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