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物流ニュース
居眠り事故防止へ 「午睡」を推奨
2019年4月4日
【福岡】ドライバーの睡眠不足チェックが義務化されて早10か月が過ぎたが、点呼時に的確な確認と声掛けが行えている事業者はどれほどあるだろうか。まずは管理者が、睡眠不足が運転に及ぼす影響を知る必要がある。先の「九州運輸局自動車事故防止セミナー」で、久留米大学副学長の内村直尚医学博士が語った睡眠に関する講話は、実に興味深い内容だった。
「過労死」という言葉がそのまま世界で使われるようになるほど日本人の長時間労働は問題になっており、その事実から睡眠時間が他国に比べて短いことは想像に難くない。今や日本人の5人に1人は睡眠の問題を抱えているという調査結果もある。
内村先生は「40歳以上になるとエネルギーの消費が減る上に、眠る力も落ちてくるため深い睡眠が取れなくなる。そして加齢により昼間の眠気が起こるようになる」と話す。さらに恐ろしいことに「60歳以上は日中の眠気を自覚できなくなってくる」と指摘。つまり、自覚できないために「眠いから車を止めて休憩し、居眠り事故を防止する」という対策が自発的に取れないのだ。
「ドライバーは非常に目を使う仕事。目を使うことが最も脳を疲れさせる。心や脳の休息及び回復は睡眠しかない」と内村先生。睡眠の取り方が事故防止に直結すると言っても過言ではない。
内村先生は「日本人の平均睡眠時間は約6時間。十分な睡眠を取ったつもりでも、それが約2週間続くと脳のパフォーマンスは徹夜したのと同じレベルにまで低下する」と指摘する。ちなみに、17時間の覚醒状態は血中アルコール濃度0.05%、呼気中0.25mg/lと同じ状態だそうだ。これはいわゆる酒気帯び運転と同程度のパフォーマンス低下であり、計測が可能なら25点減点、免許取り消し2年に相当する。「ただの寝不足」では済まされない状態だ。
さらに「1日の眠気にはリズムがあり、12時間ごとにやってくる。眠気の強さは午前2~4時が最も強く、次いで午後2~4時が強い」と断言。これは生体リズムのため、どうしようもないのだという。
そこで内村先生は「午睡」を推奨する。無理に眠る必要はなく、目を閉じて耳栓をし、安静にするだけでも効果がある。ただし、30分以上の午睡は逆効果となるので注意が必要。深く眠ると寝ぼけた状態で運転することになるのだ。
「運転中、眠気を感じたらコンビニに立ち寄り休憩すると良い。店内の照明は覚醒を促す。また、何かを食べるというのは眠気覚ましに効果的」と内村先生。現代日本人のライフスタイルから、日中の眠気は逃れようがないものと言える。それを自覚することが事故防止の第1歩となる。
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