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    北海道胆振東部地震に見る「物流麻痺」 運送事業者だけでは動けない

    2019年5月7日

     
     
     

    北海道の物流業界にとって、昨年9月6日に発生した北海道胆振東部地震とその後のブラックアウトによる「物流の麻痺・混乱」が広く発生したことは大きな教訓となった。

    震災直後から「出荷先・納品先が稼働しておらず休んだ」「信号がつかないので、危険なので休んだ」といった判断をした物流事業者は多かったが、災害時に必要とされる「食品や飲料」などを扱う事業者は、荷主や自治体などの要請に応じ、震災当日から稼働したところも少なくなかった。

    このような事業者からは、「倉庫の貨物用エレベーターが停電で使用できないため、数十人を動員し、階段を使って4階から1階までバケツリレー方式で出荷を行った」「電子機器が使用できず、伝票などは手書きで対応して輸送した」など様々な苦労話が聞けた。

    小売店など川下に配送する事業者から少なからず聞いたのは、「荷主の指示に従ってトラックを出したが、納品先で受け入れの体制が整っていないため、商品を下ろせずに戻ってきた」というケース。これは混乱する中、納品先の状況を正確に把握できずに「とりあえず出荷」と荷主が判断したために起きた事例だが、今後に問題を残した。

    また、荷主から配送指示があった場合でも、「どの店舗への配送」「どの商品の配送」を優先するかといった判断基準を荷主や納品先と決めていなかったため、「トラックは出せるが、何をどこに運んでいいかわからない」という状況が発生したという声も聞いた。
    このようなサプライチェーン上で「いつ」「誰が」「どこで」「何が」起きているかなどが分からないまま、「とりあえず動く」ケースは、有事の際には、「無駄」かつ「危険」といえる。

    物流事業者は「発注する荷主」「出荷する拠点」「運行する経路」「納品する拠点」といった「自社以外」の要素のどこかが正常でなくなれば、正常な業務を行うことが難しい。その意味で、物流事業者は運行可否の判断が「自社だけでは」できにくい構図にあり、「単独ではやれること」はそれほど多くはないといえる。

    今回の災害では、「店舗に商品がなくなった」ことを受けて、「物流がストップした」などと広く言われたが、「荷主の運行指示」「出荷先の稼働」「運行ルートの安全性」「納品先の稼働」のいずれにも異常が起きたために物流が混乱し、停滞した。有事の際に安全・継続的な物流を行うためには、このような認識を取引先などと共有し、事前に対応を事前に考えておくことが重要であることが、今回の震災・ブラックアウトで得られた教訓のひとつだ。

    災害時に今後、同じことを繰り返さないためにも、「有事の際の運行可否の判断基準・ルールの統一」「緊急事態を想定した荷主や納品先との連携強化」を平時から準備することが求められる。

    また、「発地・着地」や「経路」の情報を得やすく、サプライチェーン上の状況を把握しやすい立場にある物流事業者は、もっと役に立てるはずだ。有事の際、物流事業者の視点や判断が反映できる仕組みづくりも再考の余地がある。

    日本物流学会北海道支部の長岡正支部長は、「災害時には情報共有が必要で、企業間を結びつける物流事業者の役割が改めて注目されている」と話しており、そのような認識が共有され、実際に対応が練られていくことを期待する。

     
     
     
     
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