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物流ニュース
個人事業主はドライバー扱い 過労運転の対象に
2019年4月8日
Eコマースの拡大によって、「物流クライシス」という言葉が一般的に広まった。これにより、トラックドライバーの長時間労働が白日のものにさらされたが、中でも「軽貨物運送事業者」の長時間労働が厳しいものとなっている。個人事業主で一人親方の場合、ドライバーであっても経営者として扱われていたからだ。改正貨物自動車運送事業法によって荷主勧告制度の対象になり、ドライバーとして扱われるが、そうした認識が国交省内でもあまり浸透していない様子だ。
昨年末に改正された貨物自動車運送事業法では荷主対策の深度化について、荷主勧告制度の強化に伴い、制度の対象に軽貨物事業者が追加された。国交省貨物課に「制度の対象に追加するというのは、荷主としてか運送事業者としてか」と質問したところ、「運送事業者として」と返答。
個人事業主(一人親方)の場合、過労運転については「ドライバーとみなすのか」との質問にも、当初は「みなす」としていたものの、「撤回する」として、「ドライバーとして扱わない。運転者と経営者は違う。経営者は管理する立場となる。改善基準告示についていえば、対象にならない。経営者としての判断でやっていること。その従業員が配送しているなら別だが」としていた。
しかし、国交省は平成30年4月20日に「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」の通達で、個人事業主にも改善基準告示が適用されるようになっている。これは個人事業主でも労働関連法令が適用されると文書化された、初めてのケースとなった。
この旨を貨物課に確認すると「失念していました」とのこと。しばらくして「通達通り、個人事業主もドライバーに含まれる。これは過労運転の対象となる。個人事業主が団体に加盟していた場合、契約によるが、その団体が元請けとなることも考えられる」という。「軽貨物運送事業者をフランチャイズ展開させていた場合、元請けとして荷主勧告制度の対象となることもある」と説明。自社商品を、軽貨物事業者を使って配送していた場合は「荷主」として、荷主勧告制度の対象にもなるという。
国内のEコマース拡大の一翼を担ってきた楽天(東京都世田谷区)では、「楽天サイトはモールであって、荷主ではないと考えている。荷主に当たるのはモール内の店舗であって、楽天としては(軽貨物運送事業者の長時間労働についての)対応は行っていない。荷主としての対応はモール内の各店舗がするべきだと考えている」としている。
ネット市場最大級のモールを抱えるアマゾンジャパン(同目黒区)に質問したところ、4日正午までに回答はなかった。ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を展開するZOZO(千葉市美浜区)では、「ヤマト運輸としか契約しておらず、軽貨物運送事業者とは契約していない」と説明。
アスクル(東京都江東区)では、「配送業務を担当しているグループ会社については、軽貨物運送事業者との間で取り扱いがある。現在、注意喚起を促しており、まさに対策をしている最中。具体的には、荷渡しの時間厳守をオペレーション上でしっかり管理することと、積載量についてもなるべくコンパクトに、荷物が大きくなり過ぎないように配慮している。これは今回の法改正に限った話ではない。また、グループ会社から地方のパートナーに再委託される場合も考え、最終ルートを含めて注意喚起を行っていく」としている。
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