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物流ニュース
行政処分と監督指導 実施の基準とは
2019年5月16日
運送事業者にとって、国交省の行政処分や厚労省の監督指導はあってはならないが、「絶対にない」と言える事業者の方が少数派というのが実態。対策として法令順守を徹底する事業者もいれば、グループ会社を作って「処分逃れ」をする事業者もいるという。では、行政処分や監督指導はどのような基準で実施されているのだろうか。今回は関係者に行政処分と監督指導の基準について話を聞いた。
国交省の行政処分情報検索によると、平成30年度で行政処分を受けたトラック運送事業者は1316事業者。運送事業者を6万2000者とすれば、単純計算で全体の2・1%が1年間で何らかの行政処分を受けていることになる。今年3月には関東西部運輸(千葉県野田市)が事業許可を取り消されるなど、行政処分は年々、厳しくなっている。
運送会社からよく聞く話として、「重い行政処分を受けた場合に備えて、グループ会社を作り、そちらで営業を続ける」という話がある。現在、本当にそのような行為が可能なのだろうか。国交省安全政策課によると、「営業できなくなった運送会社が別会社で営業を続けることは基本的には可能」という。「しかし、許可を取り消された場合、取り消しから逃れるために作った、いわゆる『処分逃れ』に該当する恐れがある場合は行政処分の対象となるが、単純にグループ会社だからといって直ちに対象にはならない。そのときの状況次第」と説明する。
同安全政策課では「車両を移動させるなどの実効性が確保された場合は行政処分の対象になることも考えられるが、『処分逃れ』はそれほど多くはないと判断している。全国にある運輸局が実施しているということもあり、全体を把握しきれていない部分もある」と指摘。「運送会社が重い行政処分を受けた場合、グループ会社で運営を続けることは可能。行政としては、そのグループ会社がなぜ作られたかはわからない」としている。
また、厚労省から長時間労働などで監督指導を受ける場合はどうだろうか。「グループ会社も一緒に監督指導を受けた」という運送事業者は多い(本紙既報)が、どのようなルールや基準があるのだろうか。
「立ち入り調査の場合、グループ会社も一緒に監査するのか」について、東京労働局は「ケースバイケース。統計がないのでわからない。ルールもない。そういったケースの場合、『調べなければならない』と判断した場合は調べることになるだろう」と説明。厚労省監督課では「一般論として、労基署がグループ会社全体を対象となる情報を受けた場合、グループ全体が対象となることはあり得る。入ってくる情報はさまざま。残業代の未払いや長時間労働、全体に入って欲しいという情報もあり、個別の企業についての情報もある。それに対しては各監督署で判断している」と指摘する。
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