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物流ニュース
バス業界の運転者確保策 専門の就職イベントが好評
2019年5月30日
トラックやバス、タクシーなどの全てのモードで、ドライバー不足となっている。こうした状況のなか、バス業界では2015年から、バス運転者に特化した人材採用支援を行うリッツMC(中嶋美恵社長、東京都港区)がバス運転者専門の就職イベント「どらなびEXPO」を、これまでに東京・大阪・名古屋で18回開催し、総来場者数は3700人突破を記録。回を重ねるごとに多くのドライバー志望者が参加し、バス事業者も積極的に採用を行っている。
「どらなびEXPO」は、日本バス協会や東京バス協会の後援を得て、国交省からも注目されているイベントで、5月18日に東京で開催した「どらなびEXPO2019春」には、全国から約60社の優良バス事業者が出展し、約430人のバス運転者志望者が訪れた。
バス運転者の就職イベントでバス事業者への採用支援を行ってきたリッツMCの中嶋社長は「5年前に求人サイトを始めて、就職イベントは4年前から行っており、参加者の35%が就業している」という。
「バス業界から賛同を得るのが大変だったが、今では多くの事業者が積極的に参加してくれる」とし、「バスの運転者になりたいと思っている人を、どのように集めるかがイベントを行う上で一番の課題」という。
同社では、バス運転者専門の求人サイト「バスドライバーnavi」をはじめ、「バス会社営業所ツアー」や「バス会社人材紹介サービス」、女性バス運転手協会(中嶋美恵代表理事、同)による女性採用促進対策などで、バス運転者志望者を集めている。
こうした活動によって、「どらなびEXPO2019春」には多くの志望者が訪れ、自身にマッチするバス会社を探すために、興味のある事業者のブースを回って会社説明を受けていたほか、就職相談やステージで行われた特別講座でレクチャーを受ける人も多くいた。
バス運転者不足の主な原因として、若年層のなり手減少と、女性運転者が少ないことが考えられている。運転者不足によって、路線の減便や廃線を強いられるバス事業者が各地に存在し、この深刻な問題を解決することが急務となっている。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで、競技者やスタッフの送迎、観客輸送などに約2000台の貸し切りバスが必要と言われている。深夜・早朝の競技時間に合わせた人々の輸送手段が不安視されるなか、バスは最重要手段と考えられている。
就職イベントについて、日本バス協会の長瀬芳治参与は「業界では一体となって、労働時間短縮など、働きやすい環境づくりや仕組みづくりを進めている。一人でも多くバス運転者になっていただいて、活躍してもらいたい」と、イベントの成果を期待した。
現役バス運転者の平均年齢が50歳前後と言われるなか、「どらなびEXPO2019春」ではバス業界で「若手」とされる20〜40代の来場者が76%で、バス業界の次世代を担う人材の発掘に貢献している。
また、「現役女性運転者のトークセッション」を実施。現役女性運転者の生の声を聞くことで、「バス運転者になりたい女性」の背中を押して、女性採用を増やしていく考えだ。
注目の「どらなびEXPO2019春」特設ステージでは、「バス会社の選び方」や「希望のバス会社に受かる方法」「バス運転手が知るべき運行管理のルール」が行われた。
そのほか、スペシャルコンテンツとして、男性バス運転者と女性バス運転者によるトークセッションや、バス会社の人事課長トークセッションなども行われた。
「男性バス運転手によるトークセッション」では、現役の東京ヤサカ観光バスの武笠輝雄さん、東京空港交通の内野猛塁さん、東急トランセの青木一眞さんが、バス運転者志望者の気になる仕事のやりがいやエピソードなどについて話した。
このように、バス運転者志望者にとって役に立つ仕掛けや興味のある内容を充実させることで、人材確保を行い、バスの運転者を増やすことを成功させている。
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