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物流ニュース
企業組合は「人」中心の組織 運送事業実施の注意点
2019年7月25日
全員が経営者であり労働者であるという「企業組合」。全国で3万6494者ある各種組合のうち、企業組合は1791者(平成30年3月末)。資本を中心とした組織である株式会社や有限会社と違い、人を中心とした組織という。企業組合の場合は事業者に限らず、勤労者や主婦、学生らも組合員として参加できる。企業組合として運送事業を実施する場合の注意点などについて関係者に話を聞いた。
企業組合について国交省貨物課に話を聞くと、「貨物運送事業の許可対象になるかどうかは、法人に該当するかどうか。協同組合でも企業組合でも許可は出せる。どちらでも事例はあり、準拠する法律として中小企業等協同組合法があり、相互扶助の考え方によっては活動内容に制限がつく可能性がある」と指摘。関東運輸局貨物課でも「添付書類をそろえていただければ許可を出す。何社とは言えないが管内に実績はある。ただ、車両については組合の貨物車でなければダメ。組合の名前で車両をそろえられるかどうかでしょう」という。
経産省の中小企業庁では、「運送業だから特別に注意しなくてはダメだという点はない。いろいろと規則はあるが、運送だからというものではなく、組合として守らなければならないもので、それはどの業種でも同じ」と説明する。
また、関東の行政書士は「違法ですが、一人親方ができる可能性もある。しかし、利益配分をどうするかが難しいでしょう」と指摘する。
中小企業庁では企業組合のメリットとして、「企業組合は、個人が組合員となり設立される組合であり、会社のように最低資本金の制限がないため、設立時の資本金額が低額でも法人格及び有限責任を得られ、小規模で簡易な創業に適しているというメリットがある。組合形態で創業した事業をさらに成長、発展させたり、組合の研究開発成果の事業化を図ったりするため、より自由な経済活動が可能な会社への組織変更を希望する組合が増えている」と説明。「このことから、平成12年の法改正により組合(事業協同組合、企業組合、協業組合)から株式会社への組織変更が可能となり、組合に蓄積された事業実績、資産をそのまま活用し、事業を休止することなく新事業のために有効活用することが可能。これにより、組織変更後の会社は、例えば、事業協同組合に対する法人税の軽減税率などの組合のみに対する支援策の対象にはならなくなるが、中小企業に対して広く講じられている補助金、融資などの支援策が受けられるとともに、組合員以外に対する事業が一定比率以下と定められているなどの組合制度における制限がなくなることで、自由な経済活動が可能となる」としている。
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