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物流ニュース
中古車市場の動向 今年の事業用トラックは?
2019年8月29日
事業用トラックの中古車市場は、2年前くらいまでは売買ともに横ばい状態が続き、販売店によっては過去最高益が出るところも見られた。2017年に排ガス規制が強化され、メーカーが新型車両を投入。だが、新車の納期に時間がかかっていたため、すぐに活用できる中古車を購入する事業者が増えた。そのため、販売店も車両を多く抱え込んできたが、納期が早くなってきたことから、今年に入って過剰ぎみになっている。こうした状況を含め、今年の事業用トラック中古車の市場動向を調べた。
トラックの売買や運送業向けコンサルティングなどを行っているグリーンベル(神奈川県川崎市)の葛西宣行社長は、「3月は過去最高益となったものの、今年は例年のような引き合い数ではない」と話す。
同社では現在、大型と中型のウイング車両が動いている。だが、冷凍冷蔵車両は今年、動かないのではないかとみている。全体的には動きが鈍いが、新車の値段が高い状態を維持しているので、そのうち落ち着いてくるとしている。
「低年式車両に関しては、海外が受け入れなくなっているので、下取り価格が安くなっており、耐え忍ぶ時期である」としながらも、「利用者の食いっぷりが悪いので、いっぱい食べられるような環境をつくってあげることに力を入れている」という。
「トラックを買うことで効率が上がり、儲かる時代は終わった。環境への配慮や安全面の配慮をするようになって、儲からなくなった」といい、「だからこそ、弊社では、経営支援や経営改善、経営サポートといった付加価値をつけて、利用者の業績を伸ばすお手伝いをすることで業績を伸ばしている」と話す。
同社では、利用者への付加価値サービスとしてコンサルティング業務を行うほか、運送業を成長産業にするために、50%リース料+50%積立金でトラックを導入した初年度から増収増益できるようにする「財務UPリース」といった商品を提供している。
トラック買取・販売の「トラック王国」を運営しているNentrys(ネントリーズ、津島一夫社長、東京都渋谷区)。全国を取引エリアとする同社は、過去5年間で会社の成長率が413・3%と成長を続けている。
同社の中古車買取・販売状況について、ICT事業部の西田慎次部長は「集客面では、ウェブで中古トラックを探している利用者数や売却を考えている利用者数はほぼ横ばいで、ほぼ例年通りに動いている」と話す。
「弊社ではもともと、値付けにおいて薄利多売のスタイルだが、ここまでは例年と同じように動いており、春前くらいから冷凍冷蔵車が動き出し、今年もほとんど読みどおりに引き合いが来ている」という。
また、年中売れる箱車が冷凍冷蔵車と同様に、例年通り動いているほか、同社が得意なダンプや平ボディーなども例年通りに動いている。そのため同社では、買い取りと販売どちらにも力を入れている。
買い取りは、昨年対比で見るとほぼ一緒で、仕入れ台数は昨年比105%。販売も昨年とほぼ同じ台数が動いている。売り上げは、2016年が66億円で17年が72億円、昨年の実績は73億円だった。
トラック広場のグループで、商用車全般の販売・買取を行っているカワノエンタープライズ(村田三郎社長、同台東区)では今年、ダンプやクレーン車など建設関係の車両が多く動いている。本社営業部の茂木克之本部長は「弊社はもともと、特殊車両などに力を入れているが、今年は建設関係の利用者から、現場が増えて増車したいという声を多く聞いている」という。
多くのゼネコンが、オリンピック関連の施設建設に人や資材を集中していたが、オリンピック関連事業から開放され、リフォームや改築などの小型案件が動き始めている。これにより同社でも、建設関係の車両が多く動いている。それに比べて、「冷凍冷蔵車はあまり動いていない状況だ」としている。
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