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物流ニュース
電波透過型の断熱ボックス 大日本印刷とva-Q-tecが共同開発
2019年10月2日
大日本印刷とva-Q-tecはボックスを開けることなく、中に入っている製品に貼付されたICタグの情報や温度センサーを外から読み取ることで、ボックスの内容物の確認や温度管理ができる電波透過型の断熱ボックスを共同開発した。両社は2020年をめどに同ボックスを適切な温度管理が求められる医薬品などの輸送用に発売する予定だ。大日本印刷ABセンター開発第1部の藤田淑子課長とva-Q-tecJapanの高崎武裕カントリーマネジャーに話を聞いた。
「ICタグは、アパレル業界でも現在普及され始めているように、医薬品分野も薬品をICタグで管理していくと思われる。その際にこの断熱ボックスを展開させていただきたいと考えている」という藤田課長。「断熱ボックスなので、温度を維持している。開けてしまうと外気にさらされ温度が変化してしまう。開けない状況で内容物を読み取れる方法がないかと考えて共同開発することとなった」という。
藤田課長は「キモになるのが真空断熱材という高断熱の素材。va-Q-tecは真空断熱材では高い技術をお持ちだ」と説明。高崎マネジャーは「va-Q-tecの断熱ボックスは冷蔵・冷凍設定温度域120~168時間保つことが可能。4日から7日使用することができるので、国際輸送にも使える。何が一番怖いかといえば、途中でだれかが開けてしまうこと。医薬品を輸送して病院で内容物を確認すると、同じ温度の部屋ならいいのだが、それでなければ温度が変わってしまう。それを開けずにICタグから何が入っているのかわかるようにした」という。
藤田課長は「医薬品など内容物にICタグをつけ、この断熱ボックスで温度管理することで、必要な情報を欲しい時に取り出すことができる」と説明。高崎マネジャーは「いままでのラインナップの断熱ボックスはすべて電波を遮断していた。真空断熱材は酸素や水蒸気を通しにくいバリア性の高いフィルムで包装しないと断熱性能を維持されないことからアルミ層を必要とした。更にその真空断熱材同士の気密性をしっかりしていないとボックス内の温度維持できないため」という。
大日本印刷では真空断熱材を包装するフィルムを開発している。真空断熱材は家庭用の冷蔵庫や自動販売機に実用化されている。薄くて軽くて高断熱という素材は積載効率が求められる物流の世界にもこの技術が生かされると、展開を図った。大日本印刷では集合梱包用の大型の断熱ボックスを作っており、小型サイズのバリエーション充実を図るためバキュテック製品をラインナップに加えることとなった。
「温度管理が必要な商品を考えた際、食品や飲料、工業製品でも温度管理が必要なものもある。もっとも温度管理が重要なモノを考えたとき、世界的に法規制に縛られている医療・医薬品があった。特にヨーロッパは規制が厳しく、va-Q-tecはその中でビジネスを展開しておられ、その製品に対する信頼は厚い」という藤田課長。「開発で苦労したのはアルミ層に代わるバリア性を発現できる素材の開発。我々は電波を透過する断熱ボックスを作った。今後の課題は、中に何を入れるのか、どのような運用をするのか、しくみに仕立てていくことが大きなポイントになる。市場ニーズをヒアリングしながらどのようなシステムが展開できるか検討したい。」とする。同製品は2020年に販売が本格化される予定。
◎関連リンク→ 大日本印刷株式会社
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