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    何が正解か ナンバープレートの交付価格認可にみる

    2019年9月20日

     
     
     

     行政庁による認可がある料金体系とは、このようなものか──。10月からの消費税率2%上乗せを契機とした価格改定が進むなか、改定認可を受けた各事業体の新料金が行政庁によってまたぞろ公表されている。相対の顧客に対し、税率上乗せだけを理由に転嫁がしづらい物流事業を含めた一般業種から見ると、「料金を決め、その公表まで役所がやってくれる」(物流業者)のはなんともうらやましい限り。20日から始まる「ラグビーワールドカップ日本大会」とも関係がある自動車のナンバープレート料金も、認可と公表が各地の運輸局によってセットでなされている。

     「消費税率引き上げに伴うナンバープレートの価格改定について」——。近畿運輸局は先月末、このような内容の発表を局のホームページに掲載した。同時期には近畿以外の複数の運輸局も同様の内容を掲載している。「ナンバープレートの制作費等に含まれる増税相当分を適正に転嫁するため」(近畿)に価格改定を認可し、公表したものだ。

     近畿運輸局によると、価格を改定したのは一般財団法人近畿陸運協会や一般社団法人大阪府自家用自動車連合協会などの公益法人。各法人は、府県の運輸支局の敷地内など支局の近隣に事務所を構え、ナンバープレートの交付業務で国交省の代行をしている。

     ナンバープレート交付の価格は実は、都道府県により異なる。交付代行者(道路運送車両法25条)が、ナンバーの製作者(メーカー)から購入し、それを自動車ユーザーに小売りするといったイメージだ。だから、「枚数があまり出ない地域は高くなる」(近畿運輸局自動車技術安全部)といった側面を持つという。

     価格は近畿の場合、大阪、京都、兵庫の各府県で、大型トラックなどに取り付ける通常の大板1組(2枚)が10月から、希望ナンバーでない場合は1980円になり、20円値上がりする。滋賀、奈良、和歌山の3県は同じものが2100円に。値上げ幅は同じ20円だが、同じ近畿で120円の価格差があることになる。

     消費税率引き上げに伴う認可では近畿の場合、一律20円値上げを認めたことになる。果たしてこの値上げ幅、そして価格そのものは妥当なのか。

     車両法27条2では認可の基準について、「(ナンバープレートの)交付に要する実費を考慮して」認可することが定められる。実費に関するものとして近畿運輸局は、「交付代行者の総原価を、メーカーからのプレート購入費、システム費、人件費、管理費、事業外費用の5つに分けて見ている。今回の消費税率引き上げについては、そのうちの課税部分だけを考慮に入れ、非課税部分を差し引いたものを改定率に入れている」と説明する。1円単位の部分は、切り下げして認可したという。

     では、認可する前、つまり引き上げ前の価格そのものの妥当性についてはいかがか。運輸局関係者は、「前回の消費税率引き上げ時(2014年4月)には据え置かれるなど、大板では92年から、中板でも97年から改定認可はしていない」としながら次のように話す。

     「何が正解か。個人的には思うところがある。行政手続法導入時に、交付代行者の新規参入も議論されたが、そうはなっていない。少なくともプレート交付の価格については国交本省で検討されていると聞く」。

     「昭和31年6月22日」「昭和26年12月27日」。運輸局担当者への聞き取りで驚いたのは、ナンバープレート交付業務に就く各交付代行者を、国交省が「指定」した年月の古さだ。近畿運輸局担当者は、「和歌山では一度変わったことがあるが、そのほかは全て昭和30年代以前から同じ」と話す。

     2005年の「規制改革・民間開放推進3か年計画」を受け、国交省は翌年「交付代行者の指定を一に限るものではなく、新たな指定の申請があった場合は、民間事業者がより公平に参入できるよう十分配慮」するなどとする通達を出した。しかし、結果的に新規参入は各都道府県ともない状態だ。

     ナンバープレートは、今週末から始まるラグビーワールドカップ日本大会や東京オリンピック・パラリンピックなどの図柄を入れた、寄付金つきプレートが「デザインナンバー」として制度化され、寄付金の流れを約2年前から作り出してもいる。

     寄付金を管理する「日本デザインナンバー財団」によると、ワールドカップで約24万件、オリ・パラで約81万件の予約件数があった(今年3月現在)。しかし、「寄付金あり」を選択した自動車ユーザーの総保有台数に占める割合は、ワールドカップで0・08%、オリ・パラで0・18%に留まり、「寄付金なし」が圧倒的に多い。

     ナンバープレート交付代行制度も含めた、プレート制度全体をめぐる漠たる不信感のようなものも、寄付金の有無に関係していると見るのはうがちすぎだろうか。

     
     
     
     

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