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物流ニュース
物流子会社設立の動きが活発 その背景は?
2019年10月17日
大手企業になればなるほど、物流部門を子会社化して「物流子会社」を持つ傾向にある。物流コストの見直しや責任の明確化ということが大きな要因だろう。企業本体の「弱い」部分を補強するために物流事業者を子会社化することも多くなっている。運送事業者にとっては「荷主」としてしか見えない物流子会社。最近の物流子会社の動きについて調べた。
ドラッグストア大手のココカラファインは1日、グループ内の物流機能子会社として、ココカラファインフリュアヴァンス(横浜市)を設立した。物流危機が社会問題化する中、次の4つの管理項目を重視した物流センターの自社運営により、同社グループ全体のサプライチェーンマネジメントを実現するという。
その4つは、「Quality=常に高い品質を保ち、問題発生時には迅速に対応・カイゼンします」「Cost=社会的な情勢である物流コストの上昇を、カイゼンにより抑制します」「Delivery=Service Level Agreementにおける納期を順守します」「Sustainability(持続可能性)=事業活動が継続して実施できるよう、物流技術を有した人材を育成します」
安田倉庫(東京都港区)は9月27日、石川県金沢市を中心に展開していた大西運輸及びオオニシ機工の全株式を取得し、子会社化した。同社では、「当グループでは、中期経営計画「YASDA Next 100」で、『お客様ニーズに多彩なソリューションと最先端テクノロジーで応え、お客様と共にグローバルなロジスティクスカンパニーへと成長する』を掲げ、物流事業では倉庫・輸配送ネットワークを全国へ拡大する取り組みを進めている」と説明。「一方、大西運輸は金沢市を拠点に、小型車両から大型車両までをそろえ、北陸3県に根ざした配送網と、関東・関西・中京地区へと広がるネットワークを有しており、確かな品質のサービスを提供している。また、オオニシ機工についても、北陸3県を基盤に高いサービス品質を誇る一般建設業者でクレーン作業や建材輸配送を得意としており、安定した業績を維持している。こうした大西運輸グループのネットワークやサービスノウハウを結び付けることで、当社グループの輸配送ネットワークの更なる充実と輸配送サービス品質の向上が見込めると判断し、大西運輸とオオニシ機工の株式取得を決定した」という。
オリックス(同港区)は9月27日、物流機器の販売・レンタルを手掛ける国内大手のワコーパレット(大阪市)の発行済み株式全てを取得したと発表。
同社では、「ワコーパレットは、パレットやカゴ台車、ネスティングボックス、冷凍冷蔵コンテナなど物流機器を専門に取り扱う国内大手企業で、全国に4事業所、約80の物流センター(自社保有の大型センター7拠点を含む)を展開しており、主に関東、関西、中部エリアの物流事業者と取引ネットワークを構築している」と説明。「物流業界では、EC市場の拡大に伴い荷物の小口化や配送の多頻度化が進む一方、トラックドライバーや庫内作業者などの人手不足により、物流機器の高機能化や業務の省力化が求められている。また、国交省の総合物流施策大綱では、トラックの稼働率向上や荷役作業の短縮など物流の生産性向上の取り組みが推進され、物流機器の市場は今後も継続的な成長が期待される」と説明。「オリックスは、大型物流施設の開発・運営や、自動搬送ロボットなどの機器レンタル事業を通じて、全国の物流事業者との取引関係を有している。今回の出資により、ワコーパレットの経営の独立性を維持しつつ、オリックスグループが有する法人営業ネットワークや事業ノウハウを活用し、安定的な成長に貢献する」という。
大手メーカーがここに来て、物流子会社を設立する動きが出て来た背景には、トラックドライバー不足によるところが大きいとされる。そのため運送事業者に頼ることなく、自前の物流網を構築する動きも活発化している。
楽天は、「ワンデリバリー」構想を掲げ、EC店舗向け総合物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」や配送サービス「Rakuten EXPRESS」などの自社物流機能の強化に取り組んでいる。
同社では「物流・配送の効率化に取り組み、EC店舗に効率性の高い保管・出荷サービスを提供することで、安定したEC店舗運営に寄与する。また、楽天市場で配送追跡情報の通知機能や置き配サービス、当日配送サービス(年内導入予定)などユーザーにとって利便性の高い配送サービスを提供することで、より多くの消費者に利用いただける魅力的なマーケットプレイスを実現させる」と説明している。
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三井物産や丸紅(の関連会社)が倉庫業を営んでいるとは今まで全く知りませんでした。
イメージや商社という業態からは全くかけ離れていると思うのですが、何故なのでしょうか?