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物流ニュース
物流ウィークリー独占企画【トップ対談】石原慎太郎都知事×星野良三東ト協会長【第2回】
2008年3月26日
東京都の石原慎太郎知事と東京都トラック協会の星野良三会長(多摩運送株式会社)のトップ対談が実現した。
「世界一青い東京の空の下で」をテーマに、環境問題に対する運送業界の取り組みや都の支援策などについて、それぞれの立場で語ってもらった。(全4回)
「ヒヤリハット」をいかになくすか
石原:(ドライブレコーダーを)導入され始めてからどのくらい経つのですか?
星野:タクシーにも付いてるんですけど、ここ数年ですね。
石原:で、こちらの補助が。
星野:昨年11月8日から始まりまして。
石原:そうでしたね。
星野:東ト協で代表して受付を始めました。ですから本格的にはこれからです。
石原:しかし、既に付けている、装着している車があったのですね。
星野:私どもの会社では全車に装着しております。
石原:改めて(ドラレコの)メカニズムを教えてくれませんか?
星野:運転事故を起こす原因に「ヒヤリハット」という現象があります。運転中、事故に直結しそうな恐ろしさを一瞬感じて「ひやりとする」ことや危険な場面で「はっとした」経験のことを「ヒヤリハット」と呼んでいます。これには「急ブレーキをかける」「急ハンドルを切る」などの動作が伴います。
石原:うん、うん。
星野:ドライバーがそうした行動を取ると、映像に残るわけです。いつ、どこで、どういう場面でやったのかと細かく記録が残る。それを分析し「ヒヤリハットをどうすればなくせるか」を管理者とドライバーが一緒になって話し合いながらなくしていきます。実際に徐々になくなっています。
石原:それは素晴らしい事ですね。
星野:また個々のドライバーにはそれぞれ癖がありますが、習慣的で無意識な危険行動が多く、自分では分からないものです。それを自覚することで予防運転も可能になっていくわけです。例えば車間距離など人によって違いますよね。
石原:ええ。
星野:安全面で見てもきちんと適正な車間距離をとって運転する人もいれば、とらない人もいる。そこでとらない人に注意しても、その人は「とっている」と思い込んでいるわけですよ。
石原:ああ、そうでしょうね。
星野:それが映像にはっきり出るものですから自分の癖が分かる。そこで「直さなくてはいけない」ということになる。
石原:気の小さい人間は「ひやっとする」こと多いんじゃない?
星野:だから「ヒヤッ」としなくするわけです、だんだん。
石原:ああ。
星野:そうして癖や習慣が直ってきますから効果はてきめんです。私どもでも導入して一年以上経過しましたが、ドライバー全員の運転が落ち着いてきまして、管理する側も「もう楽でしようがない」と。
石原:それはそれは。援助ももっと早く、徹底すれば良かったですね。
「愛されるトラック業界へ」(星野)
星野:このドライブレコーダーを、傘下会員が保有するトラック9万台のうち5万台に装着する計画です。トラック協会は交付金を頂いておりますから、それを利用して、これから本気でやろうと考えています。環境面でも、ものすごく良くなる。トラックから出す、さっき申し上げたドラム缶68万本分の軽油相当の排ガスがなくなるわけですから。知事が進める「安心・安全な都市づくり」に大変貢献できるのではないかと思います。
石原:本当にそうですね。やっぱり何て言うか、大きな車は「怖い」感じがするし「威圧感」もある。
星野:そういう意味で、私どもは常日ごろ「愛されるトラック業界」になりたいと努めています。それには実績として「事故を減らしていく」以外にないと考えています。
石原:そうですね。
星野:もう、トラックには「事故がつきもの」という雰囲気が一般にある。既成概念のようになってしまっている。今回は会員一同「本気で取り組もう」と、ものすごく燃え出しましたから、私は自信があるんです。
石原:それはぜひお願いします。それから、あのダンプカー。ダンプの過積みは最近、昔よりあまり見かけなくなりましたね。あれは取り締まりが厳しくなったせいですか?
星野:はい。取り締まりが厳しくなり、もう定着したようですね。
石原:以前は貨物を山積みにして走っていましたね。この頃、見かけなくなったですな。荷が重すぎてブレーキが効かないのではと心配したけど。
星野:今はもう、ダンプも静かな運転になりました。トラックもそういうことで、イメージを少しずつ変えていき「トラックもそんなに怖いものじゃないんだな」という印象を一般の方々に与えていきたいと思います。
石原:結構ですね。やはり流通はね、ほとんどトラックに頼っているわけですから。(つづく)
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