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物流ニュース
深刻なドライバー不足「魅力ある職業像形成を」
2008年4月15日
トラック運送業界の人材確保が深刻な問題となっている。「ドライバーを募集しても全然来ない」「新卒採用がうまくいかない」といった声は今や珍しくなくなった。
近い将来、免許制度改正の影響で、さらにドライバー不足が加速する可能性が高い。良質な人材確保に向け、トラック業界は何をすべきなのか。
全ト協の「トラック業界・協会の将来ビジョン検討特別委員会」(委員長=星野良三副会長)が昨年12月にまとめた報告書では、トラック運送業界全体が共有できる普遍的な考え方として、「働く人たちの健康と幸せを実現します」とする理念を提言。将来目指すべき基本目標に「良質な人材の安定的な確保と活用」を掲げた。
そのためには、「他産業に劣らない賃金水準と労働時間の短縮など魅力ある産業への脱皮」「能力を磨き・生かせるための働きがいのある職場、魅力ある職業像の形成」などが必要と指摘。
今後の具体的取り組みとして、「プロ意識を喚起するキャリアアップ」「ドライバーへの報償制度」に関する仕組みの検討や、長期的な対策として「外国人ドライバーの登用に向けた働きかけ」などを挙げたほか、平成22年度にはトラック運送業の給与水準を常に10%、3万円程度格差があった全産業平均水準へと引き上げる目標を掲げた。
同報告書の草案作成の中心となった、ワーキンググループ座長の横塚正秋副会長は「我々はトラック運送業に従事していると考えているが、今後はライフラインを担う産業、インフラ産業に従事していると意識の転換を図り、周りから認識してもらうことが重要だ」とし、「営業用トラックは130万台が登録され、国民一人に付き1台が必要とされている。また、国民1人当たり10万円の物流費を負担してもらっている計算になる。これはインフラ産業そのものだ」と主張する。
横塚副会長はさらに、「トラック業界には約130万人が従事。20歳から60歳までの労働者で一つの年齢につき、常に約3万人確保する必要がある」と計算。「労働人口の5%を我々の業界に目を向けさせ、夢と希望を持って参入してくれるようにしなければならない。運転が好きな人間はいつの時代にもおり、ドライバーは趣味と実益を兼ねた最高の職業だが、これは非常に大変なこと」と指摘する。
インフラ産業とは一般的に電気、ガス、通信、交通などを指すことが多い。就職希望先として人気が高いインフラ産業に「運送・物流」が加わるようになれば、人材確保も違った展開を見せるはずだという。
◎関連リンク→全日本トラック協会 -
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