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物流ニュース
新卒採用への取り組み 大手物流会社の動き
2020年2月14日
次世代の物流業界を担う人材を確保するため、大手物流会社では積極的に新卒採用を行っている。そのため、物流業界が学生の就職先の候補となるように、物流会社ではそれぞれ会社説明会やセミナーを開催している。少子高齢化で労働力人口が減少するなか、確実に物流業界が新卒者を確保できるために、大学と物流会社に新卒採用の取り組みについて聞いた。
神奈川大学(兼子良夫学長、本部:神奈川県横浜市)の経済学部では、「現代企業のロジスティクス」といった物流に関する授業が行われている。同学部で物流・ロジスティクス、交通論を専門に研究を行っている齊藤実教授は「物流業界からは毎年、3つの団体と大手企業が就職セミナーや会社説明会の案内と、インターンシップを行っている」と話す。
「物流を学んでいる学生以外は、正直なところ物流業界のことを知らないので、就職先として考えている人は全体的に見て少ない」としながらも、「物流会社のことを知る機会が以前に比べて増えているように感じる」という。
同じく、経営学部で物流に関する授業を行っている産業能率大学(浦野哲夫学長、本部:東京都世田谷区)では、物流を専門にしている寺嶋正尚准教授が「学生のほとんどが、物流について全く知識がない」と話す。「物流業界の団体や会社から、セミナーや会社相談の案内パンフレットが送られてくるが、他の業界に比べて、関心を持つ学生が少なく、パンフレットの減りも少ない」とし、「物流業界単体で就職セミナーを行うよりは、他業界と合同で行った方が良いほど、物流業界のことを知らずに関心のない学生が多い」としている。
物流連は昨年、会員企業30社と共同で「第6回物流業界インターンシップ」を開催。119人の学生が参加した。長谷川伸一理事長が学生たちにあいさつし、参加学生からは「インターンシップを通して、実際に物流施設を見学・体験することで、物流業への理解が深まるいい機会となった」などの声が多く上がった。物流連では、同インターンシップを平成26年から毎年実施している。
日本通運では、「新規採用のセミナーや説明会については、当社が開催しているものもあれば、外部にお願いして開催しているものもある。説明会についても個別に大学に行って行うものや、会場を借りて実施するもの、OBやOG訪問などいろいろあり、本社としては把握していない。全国各地で開催しており、地元主催でやっているものも多い」としている。
ヤマト運輸では「説明会やセミナーを実施しているが、開催地や開催数、参加人数などは公表していない。対象となるのは4年制大学の卒業見込みの学生と、大学院修士課程・博士課程の修了見込みの学生で、高校生は対象外になる。今春の内定者は142人を数える。説明会については、いろいろなスタイルで実施しており、1年生や2年生を対象にしているものもあり、大学側とタイアップしているものもある」としている。
佐川急便では「セミナーを毎年、400回から500回を全国で開催している。この数字は高卒・大卒を含んだ数字で、参加人数については公表していない。新卒採用は2019年で401人、2020年で520人を予定している」という。
セイノーホールディングスでは2020年度、新卒獲得に向けた会社説明会を東京・名古屋・大阪で10回ずつ予定しているという。各回の定員はおよそ30人ずつであり、全体での採用予定人数は60人とのこと。同社の担当者は、「企業間物流の必要性や社会への貢献度の高さを伝えると共に、運ぶだけではない物流サービスの多様性や、そこにおける当社の役割を理解していただけるような内容を心がけている」とし、併せて「リクルーターを交えた座談会も開催している。学生と相互的に理解を深め、実際に当社で働くイメージをつかんでいただければ」としている。
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