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物流ニュース
ビズリーチ・サクシード 運送会社の後継者問題に新しい選択肢
2020年3月31日
高齢化が進む運送業界で、後継者問題は避けては通れない課題といっていい。従来なら運送事業者の身内から後継者を選ぶか、従業員を後継者として育てるか、外部から招くぐらいしか選択肢がなかったというのが現状だ。そんななか、運送会社の後継者問題に新しい選択肢を提案しているのがビズリーチ・サクシード。「事業承継M&Aプラットフォーム」を展開している事業開発部の前田洋平部長に話を聞いた。
「後継者問題で困っている運送会社を助けたいという思いで事業を展開している。いままでの日本では、M&Aに対するイメージは決していいものではなかった。そのイメージを払拭し、企業としての選択肢の一つとしての譲渡を考えていただきたい」という前田部長。同社では即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」を展開していたが、「後継者が見つからない企業が多く、自治体からも相談を受けるようになった」という。そこで同社では「後継者不足という大きな社会課題を解決するための事業として、「ビズリーチ・サクシード」を立ち上げた。
「譲渡したい企業が、法人企業のみが参画するネットサイトに自社の情報を掲載。譲り受けたい企業からメッセージを受け取ることで、自社の市場価値を知ることができる」という前田部長。登録をすると全国の企業からメッセージが届く。「中でも運送企業は他の業界に比べて多くのメッセージが届く」という。譲渡企業の登録は2300件以上で、譲り受け企業も5100社以上が登録している。譲渡企業は匿名で掲載することができ、原則として費用もかからない。譲渡企業が自ら譲り受け企業にアプローチすることもでき、アドバイザーによる代理掲載も可能とのこと。「通常の譲渡だと期間が1年間になるものも珍しくないが、直接やり取りできるため平均で3、4か月程度」という。
海上・航空輸送、通関ロジスティクスサービスを展開するTRUTH LOGISTICSの代表・青山誠公氏は、より事業を成長させるためにM&Aを検討し、ビズリーチ・サクシードに登録。そこで出会ったのは、陸路での運送業を営む東航。代表の鶴田和夫氏は70歳を目前に引退を考えていた。実は、この2社は偶然にも8年前から付き合いのある取引先。鶴田氏は「東航は、輸出入貨物、産業廃棄物の処理、事務所の移転、引っ越しを得意とする運送業で、1984年に先代が創業した会社だ。私は2代目として経営してきたが、もうすぐ70歳。ゴルフ仲間から『後継者がいないならM&Aによる譲渡を検討したほうがいい』と言われるようになった」という。「無借金経営をしてきたので廃業も考えたが、自分で開拓したお客様との関係性をなくしてしまうのは心苦しい。どうしたらいいのかと悩んでいたとき、偶然に読んだのが新聞記事だった。そこではビズリーチ・サクシードが紹介されており、安い手数料に驚いて『こんなにも良心的なサービスなら試してみよう』と思って登録した」という。
青山氏は「これからの世の中、自社の力だけで成長し続けるのには限界がある。それに、日本を含め世界がドラスティックに変化しているいま、未来のために何か手を打たないと生き残れない。そこで譲り受けを検討するようになった。TRUTH LOGISTICSは1998年に設立した、国際物流輸送業者。中国やアジア、中東、欧米など世界300社以上の海外提携代理店とのネットワークがあり、海上・航空輸送、通関ロジスティクスサービスを展開しているが、陸路の運送事業は持っていなかった」という。
鶴田氏は「話し合いのなかで本当にうれしかったのが、青山さんが東航の社名を残してくれると言ってくれたこと。先代が思いを込めて残してくれた会社だから、社名だけは変えたくないと思っていたので、これは本当に『お金に勝る価値』。代表者が変更になるだけで済むなら、これほど嬉しいことはないと思った」と話す。青山氏は「鶴田さんが大事に育ててきた会社だから、今のスタイルでそのまま引き継ぎたいと思った。だから社員を交えて食事会をして、彼らのリクエストも聞いた。ただ、ずっと同じではなく、徐々にだが一緒に進化させていきたいと考えている」という。
◎関連リンク→ ビズリーチ・サクシード
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