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  • 射界

    2017年7月3日号 射界

    2017年7月6日

     
     
     

      ある男が大切にしていた斧をなくした。どこでなくしたかが思い出せず、心当たりもない。ひょっとして盗られたかも知れないとの思いが浮かび、周囲を眺めて見ると、どうも隣の息子が怪しいと頭をかすめる。そう言えば、顔を合わせた時の挙動もおかしい。さらに深く考え、盗んだのは間違いなく隣の息子と確信した。


      ▲こんな状態に陥るのが「疑心暗鬼」の状態という。心に疑いを抱いてビクビクして暗い夜道を歩けば、なんでもない人影が痴漢に見えたり、ケータイの話し声が、背後から呼びかけられたと思い込んで「ギクッ」とした経験がある。一種の先入観が疑心を現実化させる心理だ。物事を正しく判断できず、往々にして悪い方向へとなびかせ、間違った判断を下す危険が、この疑心暗鬼に潜む。

     ▲日常生活で、自分勝手な想像から、怪しくない事柄にまで怪しいと疑ってしまう疑心暗鬼について、中国の古書『老子』や『荘子』、『烈子』は厳しく戒めている。永田町界隈には今、正体がはっきりしない文書が飛び交って疑惑を呼んでいるが、それを個人的メモと言ったり、正式な行政文書ではないと否定したり、果ては怪文書と断じて情報が飛び交い、疑心暗鬼が火花を散らしている。

     ▲世間には「天に唾(つば)する」との教えもある。上に向かって唾を吐けば、必ずその唾は自分の顔に落ちてくる。身のほどもわきまえずに人の悪口を言ったり、人に不利益を与えようとすると、その悪口や態度、行動が、そのまま自分の身を傷つけ、自らの欠点になってマイナスに働く。表現は違っても同じような戒めは、どの国にもある。世の中に、疑心暗鬼が渦巻いている証左でもあろう。

     
     
     
     
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