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射界
2017年7月10日号 射界
2017年7月6日
三重苦の教育者ヘレン・ケラーは「希望は、人を成功に導く信仰である。希望がなければ何事も成就するものではない」と言って、自らの目が見えず、耳が聞こえず、口が利けない境遇にもめげず、立派な教育者の道を開いた。この言葉のように、明るい希望は、人の心を鼓舞する心地よいリズムとなって言動を鼓舞する。
▲希望が叶うか否かは時の運。それでも人は目標を掲げて希望実現に立ち向かう。たまたま今が灰色であれば一層、様々な明るい希望を夢見て努力するはず。小さな努力の一つひとつが軽やかで明るいメロディーとなって応援してくれる。もちろん実現には渾身の努力が必要だ。たとえ微力であっても、童話『マッチ売りの少女』のマッチ一本の火のように、将来に向かって希望を描き出す。▲希望の対語は倦怠だ。倦怠は日々の仕事を含め、生活そのものを続けようという意欲すら奪い去ってしまう魔力が潜む。何を手掛けても興味が湧かず、沈滞感に溺れて倦怠に陥る。若者の一部に「やりたいことが見つからない」と、日々の仕事や生活に馴染もうとしない傾向があるが、倦怠を正当化する言い逃れでしかなく、希望を失った倦怠を繕おうとする醜悪ささえ感じられる。
▲希望をもって目標に立ち向かう勢いは「研ぎ澄まされた名刀の輝き」があると説くのは、江戸後期に活躍した儒学者佐藤一斎だ。自分に適した相応の希望を描きながら、目標達成に努力する情景は名刀のような輝きがある。そうでない者の姿は鈍刀のように錆びついたままだ。倦怠から抜け出すには、まず希望をもち、それを成就させる行動を起こすことだ。それが希望の大きな原動力になる。
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