-
射界
2018年4月9日号 射界
2018年4月26日
「若気の至り」と言えばそれまでだが、若い時は時間を忘れて遊びに没頭し、翌朝には普段通り勤務についても疲労感はなかった。時間など有り余るほどあるから遊ばなきゃ…の認識しかなかった。だが年齢を重ねるに伴い時間の少なさを嘆き、今さらのように、若い頃に浪費した時間を悔やむ。
▲イギリスに「時と潮汐(ちょうせき)は何人も待たない」との教えがある。文字通り、時間と潮の満ち引きは決して人を待ってはくれない。一度、去ってしまうと大声を出しても呼び戻せるものではない…したがって、今の「一瞬」がいかに大切かを心に刻みなさいという。意味なく夜遅くまで時間を浪費する人々への警告だが、若者には馬耳東風でしかない。
▲世にいう教訓は、いつの場合にも年老いた人から出るから、若者は耳を貸そうとはしない。ドイツにも同様の教訓がある。単純明快に「青春と失った時とは永久に戻ってこない」と。人はとかく、青春時代を思い起こして懐かしむ。功なり名を遂げた人が「カネや名誉は要らない。若さだけを取り戻したい」と、よく耳にする。失ったものへの懐旧でしかない。
▲青春が遠い過去のものとなった人にも、まだまだ自分自身の時間は残っている。明日と言わず今日という日を、いかに生きるかに心を砕き、思いを実現すべく行動すればよい。おぼろ気ながらも青春の一端が蘇ってくるだろう。確かに、失ったものを取り戻す手立てはないが、それにも増した充実の時間が持てれば、満足できる日々となる。それを期待したい。
この記事へのコメント
-
-
-
-
「射界」の 月別記事一覧
-
「射界」の新着記事
-
物流メルマガ