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射界
2018年7月2日号 射界
2018年7月9日
幼い子らの想像力には驚かされる。自由に絵を描くよう1枚の画用紙を渡せば十人十様、予想もしない思いが画面いっぱいに描かれる。未来の理想を思いのまま表現されているが、想像力は人間にとって大事な機能の一つ。10年後の自分の姿を思い描くのも想像力の偉大さに負うところが大きい。
▲大袈裟に言えば、人類が今の繁栄を享受できているのも、先人のたゆまぬ想像力が働いた結果ともいえる。それなのに人々は仲良く暮らす手立てについては想像力を働かせられないのに納得できない。相変わらず色んな摩擦を呼び込んで解決に苦悩する。お互いが少し相手を思いやる気持ちさえ持てば済むのに、自我を前面に争う。世間のしがらみがそうさせる。
▲アルバート・アインシュタイン(理論物理学者、ノーベル賞受賞)は「想像力は知識より大事だ」と主張する。なぜ彼はそう主張するか。彼の見解に従えば「知識は有限だが、想像力は無限に世界を駆け巡るから」と説明する。大人の常識の枠を飛び出して自由に動き回る想像力は、気ままだが遊びではなく、堅固な土台の上に築かれた知識として健全だからだ。
▲ではすべての人が健全な知識の持ち主かと言えばそうでもない。目の前の自利自欲を求めがちで、事実にこだわって動く傾向が強い。世のしがらみに覆われた事実は健全な知識と衝突する。事実は〝後ろ向き〟であるのに対し想像力は〝前向き〟の性質を持つ。ここに両者が争う原因が生まれる。せっかくの協同社会。できれば前向きの想像力の中で暮らしたい。
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