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射界
2019年3月11日号 射界
2019年3月18日
昔から古典に親しみ、歴史に学べと言われる。時代が変わろうとも、現代にふさわしい生き方を貫こうとすれば、古典や歴史を紐解いて失敗のない生き方を心掛けるべきだ。古典は人間の英知の結晶であり、歴史は苦闘の記録である。伝えられた事跡の数々から多くを学ぶことの大切さを理解する。
▲考えてみれば、太古の昔から複数の人間が暮らし合う。そこにはおのずと社会性が求められ、やがて複雑化した利害関係が生まれて衝突することもあろう。自我の誕生だ。世の中の進展に応じて人間模様は複雑化を重ね、嫉妬や羨望、裏切り、偽計などの賤情が頭をもたげる。自分の能力をわきまえず、他人の栄達を妬み、やがて憎しみにまで高ぶって混乱する。
▲他人が一向に自分を認めてくれない、と不平をかこつのは筋違いだ。自分こそ他人の真価を理解できずにいるのではないかと、まず、理解すべきではなかろうか。古典の一つ『論語』は「人の己を知らざるを患(うれ)えず、人を知らざるを患う」と教える。人間学の至言ともいうべき深みのある言葉だが、孔子は事あるごとに弟子に向かってこう諭したという。
▲人は、それぞれ懸命に仕事と闘っている。少なくとも同僚と比べて「負けたくない」気持ちでいっぱいだ。それなのに「報われない」と、つい口に出るのがグチである。しかし、グチをこぼして報われた例はない。グチって人格を落とすことはあっても上がる効果はない。その辺りを自戒して当面の仕事に熱中する…そこに人々の信頼は集まると理解したい。
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