-
射界
2019年11月18日号 射界
2019年11月25日
戒めの言葉には、古今東西似たものが多い。ヨーロッパの国々に古くから伝わるラテン語の格言には「ゆっくり急げ」というものがある。「急いでいるときこそ、じっくり考えないと失敗してしまう」や「基本的なことを考えずにスタートしても間違いをおかす」という意味だ。
▲日本にも昔から「急がば回れ」という戒めの言葉がある。「遠回りに見えても危険な道より、安全で確実な道を選んだ方がいい」という例えだ。「もののふは矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」という歌が語源。京都に向かうには航路の方が近いが、比叡山からの風が吹き下ろされるために危険な航路だった。瀬田の長橋は瀬田の唐橋のこと。
▲時代も地域も違うが、人間は同じような失敗を繰り返してきたことがわかる。もちろん、「急がば回れ」の対義語もある。「鉄は熱いうちに打て」だろうか。柔軟性のある若いうちに学ぶことが大切という教えだが、物事は時期を逃さないようにしなければ成功しないという意味でも使う。これはもともと英語だった戒めを訳したもの。すでに一般化している。
▲人間はどのような事態に遭遇しても、切り抜ける方法がある、もしくはあったということ。そのことに気づかず、見逃しているようだ。しかし、どの戒め・教えがあっているのかを考えるのは、やはり自分自身。「急がば回れ」なのか「鉄は熱いうちに打て」なのか、判断するほかはない。戒め・教えは絶対ではなく、自身の判断をサポートするだけのものだ。
この記事へのコメント
-
-
-
-
「射界」の 月別記事一覧
-
「射界」の新着記事
-
物流メルマガ