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    見えぬ業界の現実「営業報告書」提出は無意味か

    2010年5月31日

     
     
     

     毎年、運送事業者に提出が求められている営業報告書と輸送実績報告書。しかし、各報告書には実績を裏付ける証明書類の添付は必要なく、いわば数字は自己申告に任せるという状態にある。しかも、零細化が進む実運送事業者では報告書の提出自体が曖昧になっているケースも少なくない。正確な数字が把握できれば荷物量の減少と著しい運賃の低下、過剰感のあるトラック台数などが浮き彫りとなるはずの「業界の現実」が、おざなりの報告形態を継続するなかで見えないままでいる。

     4月から翌年3月の1年間を対象とする輸送実績報告書と、事業者ごとに決算期が異なる営業報告書。輸送実績は毎年7月10日、営業報告は事業年度の終了から100日以内の提出が義務付けられているが、かねて報告書の在り方が疑問視されてきた。営業報告書に至っては提出の意味さえいぶかる声が聞かれてきたのが実情だ。



    seiji_0531.jpg 広島–大阪間で大型3万円、大阪–東京で6万5000円といった運賃も珍しくないが、いずれも深夜料金で全線高速を利用すれば手元に残る運賃はゼロに近い。こうした現実が各報告書から浮かび上がっても不思議ではないが実際は違う。

     デジタコのデータを基に、できる限り正確な輸送実績を報告してきたという兵庫県姫路市の運送社長は「年度だけを入れ替えて、ここ数年間は同じ内容で報告しているという同業者も存在する」と話す。

     とはいえ、輸送実績では実運送と取扱事業を区別して報告している同社でも、営業報告は運賃収入で一まとめにしているのが実情で、「双方の割合は半々だが、運賃収入を単純に実運送として集計されてしまえば、悪くない運賃単価に見えてしまうかもしれない」としている。

     一方、燃料価格がピークとなった一昨年ごろから中・長距離輸送を対象に実運送を敬遠するムードが高まり、下請けは孫請けに、さらに下へと傭車を重ねたことで、業界の下請け構造は一段と多層化している。営業報告でも「傭車の場合は取扱手数料だけを計上するようにしているが、いい加減になっている面は否めない」(広島市の運送会社)という声も多く聞かれる。

     傭車の場合は実運送と切り離して報告することで、正確なトンキロ数が把握できるといえる。しかし物流子会社から元請け、下請け、さらに下へと傭車を何度も繰り返すことで、「実際には一つしかない仕事がデータのうえでは四つにも五つにも膨らんでしまい、トラックの過剰感や厳しい経営実態が見えにくくなっている」(岡山市の運送会社)というのが実情だ。

     報告書の提出期限まで2か月となったが、まずは厳しい業界の姿を浮き彫りにすることが必要だ。未提出の事業者も少なくないというが、適正運賃を収受し、業界の将来像を探るうえでも、可能な限り正確なデータを集積する努力が業界自身にも求められている。(長尾和仁)

     
     
     
     
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