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「わいろ」求める荷主担当者 領収書の付回し強要
2010年6月4日
下請け企業が元請け企業や顧客企業から、強引なやり方で不利益を被ることを防ぐため施行された下請法により、運送業界でも協力金などの強引な値引き強要行為が摘発され、下請けいじめが軽減されたように思われる。しかし、一部の元請け企業の物流担当者による不正な強要は後を絶たないようだ。
大阪市に本社を構える運送会社A社は今年、大手物流企業B社の下請けとなった。大型トラックや4?車など数多くの車両を傭車してくれるが、運賃としては大手物流会社の強みで、利益は大きなものではない。しかし、昨今の不景気で少しでも仕事が得られることから、B社は重要荷主となっていた。
数か月が経ったある日、B社の物流担当者が突然、「社長に相談がある」とA社を訪れ、「今後、物量の増加も予想されることから、A社に期待している」などと社長に告げた。
A社社長も気分を良くし、「何かあればできる限りの協力はさせてもらう」と言うと、物流担当者は期待したように一つの領収書を提示し、不景気で遊興費ならびに接待費が会社から得られず困っていると話した。
A社社長も、相談があるとの言葉で予想していたものの、その日のうちに求められるとは思わず、領収書を提示された時は一瞬、何のことか理解できなかった。担当者から「この分を御社で経費として処理してほしい」と5万円程の領収書を受け取り、飲食費としてA社の経費で落とすこととして、領収書相当額を現金で担当者に手渡した。
その後も担当者は月に数回、数万円の領収書を持って来たが、A社としても現状ではさほど仕事依頼も得られていないため、理由をつけて何度かは断っていた。それでも、しばらく経つと繰り返し行われたという。
また、大手荷主企業の物流子会社C社でも最近、物流担当者が会社を解雇された。解雇の理由は「下請け運送会社に対して、傭車1台につき数千円から1万円のわいろを強要。1か月で数十万円のわいろを得て、趣味の賭け事などに利用していた」こと。
わいろを得ていたことを知る別の運送会社の社長も、「年収1000万円程もらっていた担当者だが、賭け事が好きで下請けにわいろを露骨に求めていた。大した利益も出ない仕事で、わいろまで求められてはたまらない」と話している。
下請法が施行されたいまでも、下請け運送会社の弱い立場を利用したわいろを求める卑劣な行為は後を絶たない。(佐藤弘行)
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