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    不当解雇になるのか 持病、試用期間中の職務怠慢

    2012年4月26日

     
     
     

    truck3_0423.jpg 昨年4月の栃木県鹿沼市のクレーン車による事故以来、運転免許制度との兼ね合いが問題視されることが多くなった「てんかん」の症状。今月12日の京都市内での事故も、事業用トラックではなかったものの、雇い入れ時のチェックができないことから、事故の蓋然性に危機感を持つ運送事業者は多い。てんかんの症状が出る運転者かどうかについて、仮に事業者が知らなかったとしても、「事業者として従業員の健康管理義務はある」(近畿地方の労基署職員)ため、事故との因果関係を追及される恐れがあるためだ。一部では、「事前診断をして見つかれば解雇せざるを得ない」(近畿地方の事業者)といった反応も出ている。こうした場合の解雇の法的、民事的扱いについて考えてみる。



     事業者の中には、「すでに本採用で雇い入れた者を、てんかんの症状が出るという理由だけで解雇ができるのか」といった疑念もある。大手機械メーカーの製品を長距離輸送する兵庫県内の事業者は、「解雇した場合、労基署が何か言ってくるに決まっている。そうした場合、雇い続けて事故が起きれば、誰が責任を取ってくれるのか」。

     近年では、労働基準法上は明らかに使用者(事業者)側に分がある事例についても、「労基署から電話がかかってくる。なぜ、文句を言われなければならないのか」(兵庫県内の別の運送事業者)といった話があちこちで聞かれる。

     この事業者は最近、次のような経験をした。試用期間中の従業員が、遅刻を繰り返した。理由を聞くと、通勤に使っているマイカーが故障し、電車で通っているために通勤時間が大幅に伸びたという。それに加えて、業務命令にも従わない行動が多くなった。「辞めてもらえるか」「解雇ということですか」「そうだ」。こんなやり取りをし、会社を辞めていった。

     数日後、地元の労基署から電話が入った。職員は「もう一度考え直してもらえませんか」「聞きたいのは会社の都合ではない」などと繰り返すばかり。事業者が、「今回の解雇が、労働基準法上、何の問題があるのか」と聞いても、職員の回答は同じで、電話が切れた。その後は一切電話はかかってこない。

     解雇権の濫用には当たらない事業者側の正当事由について、今回の件は「労働者側の規律違反」に該当するものと考えられる。事業者はその説明を加えていた。このように、労働基準法の範疇を超える民事上のトラブル事案に労基署が介入してくるケースが見られる。なぜ、こうした電話がかかってくるのだろうか。

     所管の兵庫労働局労働基準部によると、2001年から労働局内に設けられた「総合労働相談コーナー」からかかっている可能性が高いという。同局によると、「相談コーナーは労働基準行政としては扱えない民事上の労働問題の解決機関」で、「個別労働紛争解決促進法」上の機関。さまざまなアドバイスを労働者はもちろん、使用者にも施している。基準部の妹尾裕治司法監督官は、「相談コーナーからの電話に強制力はない。同じ労働局内にあり、紛らわしい電話になっている恐れがある」と話し、事業者への電話が外部からは監督署からの電話のように受け取られていることを認める。

     つまり、解雇に正当性が持てると判断する場合には、あとは行政機関が口出しする権限はないことは明らかだ。では、今回問題になっている「てんかん」などの意識障害ゆえの解雇についてはどうか。妹尾氏はこれについて、「基本的には民事上の問題」との立場だ。また、解雇権の濫用法理が除外される項目に、傷病も挙げられている。ただ、治療薬なども開発されているため、「一足飛びに解雇となれば労働基準法の中で扱うこともありうるのでは」との見方もある。(西口訓生)

     
     
     
     
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