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    ブラックな労働実態 運輸交通業の違法11%

    2014年1月31日

     
     
     

    truck_0203.jpg 「ブラック企業」とは何を指すのだろうか。厚労省によると、従業員に過度の心身の負担や長時間の労働など劣悪な労働環境での勤務体制を作り、改善措置を行わない企業としている。



     昨年12月に厚労省が、「2013年9月における1か月間の労働実態」を調査し、結果を公表した。全国の労働局による過去の監督実績や離職率の高さをもとに、違法が疑われた5111事業場のうち、82%にあたる4189社で違法行為が確認された。主な原因としては、時間外労働や賃金不払いの残業、健康障害防止措置の不備である。

     業種別に見ていくと製造業29%(1501社)、商業19%(987社)、トラック運送が該当する運輸交通業は11%(574社)という結果となった。この調査は、全国にある約427万事業場の0.1%。監督姿勢を強化したい厚労省だが、労働基準監督官が約3000人しかいないのが実情である。

     業種別構成比が示すように、トラック運転者の労働実態は問題視されることが多い。愛知県の運送会社社長は「法令を順守することは企業として当然で、経営者としても十分理解している。しかし、一から十まで法律通りにやっていては企業としては存続できない」と苦しい胸の内を明かす。別の運送会社社長は「別の件で監督官が会社に来たとき、『今の運送業界の内情をわかっているのか』と質問したら、『よくわかっています。しかし、法律は法律なんで』と返された」と、呆れ顔だ。「事業規模を縮小するため長距離便は極力止めて、安定した定期便だけをやっていくしかない。運送業界の構図そのものを変えていかないと何も変わらない」と諦め顔で話す。

     最近、労働組合や労働相談センターに仕事の悩みを打ち明けるドライバーが少なくない。それどころか、「過去最大の件数になった」(労働相談センター)、「景気の波にかかわらず、一定数の相談は必ず来る」(建交労愛知県本部)という状況となっている。

     「相談の1割ぐらいは裁判になる。同じ運送会社の事案が多い」というのは、建交労愛知県本部。「相談の内容は『事故引き』や『残業の未払い』で、年々と悪くなっている」という。

     「ドライバーも知識がないので、『こういうものだ』と言われれば、納得してしまう。景気うんぬんより、運賃を下げられたことのしわ寄せがドライバーに来ている。大手企業なら昔に比べて改善されているかもしれないが、中小・零細の運送事業者はまだまだ」と指摘する。

     同様に「企業間の競争によるしわ寄せが働く人間にかぶせられている」と指摘するのは、労働相談センター。「昨年の相談件数は8280件と過去最高。リーマン・ショック以降、増え続けており、昔より倫理観がよくなったとは思えない」とも指摘する。

     前出の建交労愛知県本部では「きちんと話し合いの場に座る運送会社もあれば、最初から裁判ありきの会社もある。国が『こういう会社はブラック企業』と説明したところで、改善の方向にはなかなか進まない」と考えている。

     悩みを抱えるドライバーのなかには体調を崩すケースもある。名北労働基準協会(名古屋市北区)は1月23日、産業カウンセラー・特定社会保険労務士の渡邉惠子氏を講師に迎え、メンタルヘルス管理者研修会を実施。

     渡邉氏は厚労省が全国の医療施設に対して行っている「患者調査」を引用し、平成8年に43.3万人だったうつ病の気分障害の総患者数は同20年には104.1万人と12年間で2.4倍に増加しているにもかかわらず、うつ病患者の医療機関への受診率は低いというデータを説明。特に、男性より女性の方がうつ病になりやすいという。

     「労働者と使用者との間に労働契約が成立した以上、メンタルヘルスは企業の責任が問われる」と指摘。現代のうつ症状は、ほとんどが人間関係から発症するもので、青年層を中心に多く見られる。心の健康づくりの対策の進め方として、「不調と思ったら過重労働対策などの取り組み、メンタル不調者の早期発見、休職者の復帰支援がポイントになる」と説明。一番難しいのは職場復帰であると強調した。

     運送業では、「トラックドライバーは1日の大半を1人で過ごすため発症しづらい職種ではある。コミュニケーションを取るのが苦手なタイプが多い」と分析する同氏。「ブラック企業に多く見られる長時間労働や割に合わない賃金体制といったストレスもメンタルヘルスとの関連性は大きい」と話す。

     同研修会に出席した運送会社に勤める40代の男性は、航空機体の部品を梱包する作業をする傍ら、「部下を束ねる立場上、今回の研修に参加した。今後の労務管理のために役立てたい」と話した。

     
     
     
     
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