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    高卒者獲得「すぐ辞める」「未来への投資」各事業者の考え

    2014年9月29日

     
     
     

    truck5_0922.jpg 9月に入って、高校生の就職活動が本格化している。来春に就職を希望する高校生の求人倍率は1.28倍と、6年ぶりに1倍を超え、去年の同時期と比べ0.35ポイントの大幅な改善となった。建設業やサービス業に加え、自動車関連の製造業での求人が大幅に増えているようだ。他業種の求人が増える中、運送事業者にはなかなか高卒者が集まる気配が感じられない。



     大阪府守口市の事業者は、高卒者の採用にあまり積極的ではない。「今の若い人は、すぐに辞めてしまうため採用しようとは考えていない。20歳以上になって中型免許が取れるようになるまでに辞める可能性の方が高い。今の世の中には、ドライバーに向いてなくても選択肢はたくさんある。でも、一番はやはり免許制度の壁なのではないか」と話す。

     東大阪市の事業者も「高卒者など『ゼロ』からスタートする人材を採用すると、お金と時間がかかるため難しい。かつて若手を採用しベテランと衝突して会社の雰囲気が悪くなった。それ以来、いまだに若手採用にはためらいがある」と打ち明ける。

     多くの事業者が高卒者を採用しない中、大阪市淀川区の事業者では、高卒者を積極的に受け入れる体制を作っている。倉庫内作業で採用しながら、中型・大型運転免許や運行管理者、フォークリフトなどの資格取得をサポートして人材を育てていく仕組み。今後は運送業を担う人材を育成していくだけでなく、他社への人材供給も視野に入れているという。

     会社こそ小規模なものの、新人を手厚く支援している事業者もある。「すべての費用を会社が持ち、5人が大型免許を取った。当社は先行投資型で、成果や結果をだした場合に報酬を上げるのではなく、期待される人材には先行投資する。このシステムにしてからは新人でもやる気を見せて、どんどん伸びるようになった」と話す。

     高卒だけでなく、今では大卒ドライバーも珍しくなくなってきた。純粋に車が好きでドライバーになったケースや、親の介護など家庭の事情で一般企業には勤められないが、夜間ドライバーなどで「日中の介護時間を比較的使いやすい」と、ドライバーを選ぶ人もいるという。

     来年の4月から大卒を採用するという茨木市の事業者は、大学生対象の就職説明会にも参加し、会社をPRしている。前出の事業者と同じく、同社も倉庫業務を覚えてからドライバーへと成長してもらいたいという考え。「将来の物流業界で活躍するのは今の若手。ベテランばかり採用するのは簡単だが、未来への投資も必要だと思っている」(同社長)。

     大学生の就職状況は改善されてきてはいるものの、高校生に比べれば、まだまだ厳しい。一般企業に就職したが、何らかの理由で再就職しなければならない場合や、新卒でなかなか職が見つからないなどの場合にドライバー職に就くという事例も今では普通のことのようだ。タクシー業界では既に大卒をターゲットに採用している会社も出てきている。

     多くの運送事業者で聞かれたのは「高卒・大卒はあまり採用したくない」という声だった。業界の厳しさから、若い人材を育てる時間はない、若い人は続かないと事業者は言うが、即戦力を求めて中途採用ばかりでは10年後、20年後の運送業界は危うい。若い人を受け入れなければ新しい風は入らず、業界は衰退の一途をたどってしまう心配もある。

     高卒者などの人材を呼び込むために必要なことは何か。それは何よりも「会社のPR」に尽きる。求人票では福利厚生や待遇をきちんと記載することで安心感を与え、自社HPには若手の写真を掲載すれば、親しみを持ってもらいやすい。

     説明会には参加できなくても、近隣の高校に出向き、就職担当者などと顔見知りになることで人材確保の足掛かりとなるかもしれない。高卒者の採用市場がにぎわいを取り戻しつつある今は、若手採用のまたとないチャンス。まずは1人でも若手を育成しなければ、今後のますますの人材不足は食い止められない。

     
     
     
     
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