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    死亡事故で残ったもの 壊れた車両、行政処分、荷主対応

    2012年7月20日

     
     
     

     事故防止は業界にとって永遠の課題といわれ、その取り組みに事業者らは日々頭を悩ませている。経営環境が厳しくなる中、死亡事故のような重大事故は、会社の存続さえ危ぶまれる時代となった。死亡事故を起こした首都圏の事業者は、今も後遺障害に苦しめられている。
     同社は、一般雑貨の輸送を手掛ける小規模事業者。死亡事故を起こしたのは3年前のことで、ドライバーが、くぐれない高さのガードに進入してしまい、荷台の箱が大破。その箱がセンターラインをはみ出たところへ対向車が通過し、運転者を直撃したため即死となった。


     この事故で、同社のドライバーは現行犯逮捕された。相手は中年の男性会社員だった。遺族への弔問をはじめ、補償問題などで社長は駆けずり回った。「遺族に白い目で見られるのは辛かった」と振り返る。
     遺族への対応は、保険会社にある程度任せることで何とか片付いたが、大変だったのはむしろ、それからだった。
     ドライバーはその後、釈放されたが免許取り消し処分となり、トラックを運転できなくなった。責任を取る形で退社したが、「辞めて責任を取られても、会社としては何の恩恵も受けない」と社長は話す。結局、死亡事故で自信喪失の元ドライバーに、同社が被った被害の弁済を求めることもできず、ドライバーは去っていった。
     社長は、その後も事故対応に追われる。まず、トラックの損壊が大きく、修理するにしても車両保険には入っていなかったので自腹となる。それでも廃車にして新しい車を購入するよりも、経費が抑えられるとして修理に踏み切った。修理代は500万円掛かった。
     この事故のため、翌年の保険料は大幅に上がった。さらに死亡事故を起こしたということで、事故から1年以上経って国交省による特別監査が実施され、車両2台について2か月間の使用停止を余儀なくされた。保有台数が10台に満たない同社にとって、2台の使用をストップされることは大きな痛手だった。社長も、「やりくりに奔走した」と話す。
     荷主への対応にも追われた。死亡事故の件は当然、荷主の耳に入る。当初はいい顔をしなかったが、事情を説明するとともに信頼回復に努めた結果、何とか仕事を失うという最悪の事態は避けられた。
     コストの負担増は3年経った今も重くのしかかっており、「ボディーブローのように効いてきている」という。
     「死亡事故で受ける会社の後遺障害は決して小さくない。倒産に追い込まれることも十分に考えられる。事故は仕方がないという取り組みではなく、絶対に起こさないという強い決意が必要」と、現在は再発防止に全力で取り組んでいるという。

     
     
     
     

    この記事へのコメント

     
    1. 安全運転ゴールド長老 says:

      事故は互いに何も徳がない、長いことハンドル握ってると自信過剰になる運転手に運行管理講習や定期的にハンドル握る自覚を与えると多少は効果あるかと思う。入社のときにあれこれ言うと入社してこないデメリットもあるが…

    2. 匿名 says:

      遺族に白い目で見られるのは辛かった
      保険会社にある程度任せることで何とか片付いた
      トラックを運転できなくなった
      辞めて責任を取られても、会社としては何の恩恵も受けない
      車両保険には入っていなかった
      死亡事故の件は当然、荷主の耳に入る
      死亡事故で受ける会社の後遺障害は決して小さくない
      事故は仕方がないという取り組みではなく、絶対に起こさないという強い決意が必要

      こんな自己中心的な弱小企業が事故を起こすんですね。すべて自分が被害者の様な無責任な言動。情けない人殺し。

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