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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(383)リーダーシップについて(10)―3
2022年7月4日
芸能プロダクションのホリプロ創業者である堀威夫氏は、タレントを見抜くポイントとして8項目あげている。企業経営者にとっても大いに参考になる。
①欠点と魅力のはっきりした人 —どこか一つずば抜けたものが欲しい。それは際立った魅力でもいいが、逆に大きな欠点でもいい。
②社会人として及第点の人—芸能人である前に一個の常識人であることが、最低条件なのである。
③作らない魅力のある人—いわゆる素顔の魅力とは、その人の人間的魅力なのである。
④声の大きい人—これはその人の気質や性格を表している。美声である必要はさらさらないが、声の小さい人は消極的な人と判断する。
⑤輝きのある人—ルックスは問わないが、輝きは重要である。
⑥積極性のある人—何事かをなすのに消極的では話にならない。
⑦目標を高く持っている頑張り屋—人生に目的を持たない人は、ついに何事もなし得ない。目的意識を持つことは、忍耐力と努力の前提として必要なことである。
⑧生きることに真剣な人—抽象的だが、これはその人に会ってみればすぐにわかることだ。
A社のリーダーは、経理の選定を誤った。B氏の表面的なまじめさにコロリと参ってしまった。
リーダーは人間通でなければならない。B氏の生活態度をじっと観察していれば、おかしいと感じたはずだ。
ショックのあまり社長は「人が信じられなくなったよ。任せていたらこのザマだ。これからどうしたらいいのか」と深い悩みに嵌まってしまった。私のアドバイスとしては次の通りである。
「社長、創業当時のないない尽くしを思えば、まだいいじゃあないですか、30人の社員と得意先があるではないですか。高い授業料と思って割り切って下さい。その上で経営管理のチェックシステムを確立し、一人ひとりの社員の人間的側面に、深く注目して下さい。
これまでの社長は忙しすぎて一人ひとりの社員の生活のこと、家族のこと、抱えている悩みや夢や目標について、じっくりと話し合うという面ではおざなりにしてきましたね。
人を見抜くというのは、人の心を掴むということではないですか。人の心を掴めれば不正はしなくなるし、心が通じ合っていくものですよ。
人の心を掴むには、根本として社長の生き様に賭けて企業ビジョンを示すことですよ。単に働くだけでは虚しいもので、楽したいとか、自分だけ得したいとか思う人も出てくるでしょう。だから同志としての企業集団を作る必要があります」
リーダーは優れた人間心理の把握、人間通であって成り立つものだ。人の心が読めなくては、いくら経営数字に詳しくても落とし穴が待っている。
優れた人間通は、生まれながらの資質ではなく、失敗を糧として成長する。
経営現場での真摯な苦闘が、人を見抜く力を鍛えていくのだ。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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