-
ブログ・高橋 聡
第234回:令和時代の運送業経営 コロナ禍でがんばる経営者を応援します!
2023年1月15日
新年あけましておめでとうございます。皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年は夏頃に感染者数がピークに達しコロナ禍が継続し、物流現場への影響も大きかった一方で、燃料代の高騰や新車納車遅延の中で「標準約款」改正に対応し、荷主に対し「運賃交渉」を進める機運が高まってきましたが、秋以降コロナ禍が収束傾向となり、建設・飲食現場に人材が流れた影響もあり恒常的なドライバー不足に陥る会社が増加するなど変化の大きい1年でありました。
また、「2023年問題、2024年問題」への対応により社内の改革を推し進める必要性が高まってきましたが、荷主に交渉の出来る会社は限られ「何から手を付けていいのかわかならい」という経営者の声も多く、具体的な取り組みを進めた会社は全体の3、4割というのが実情でした。
また、ドライバー不足の状況が継続する「売り手市場」というマーケットにおいて、解雇や未払残業請求等の労務トラブルも多発し、「辞められたら困る」という経営者事情の中でご相談件数の多い1年間でありました。
さて2023年ですが、「実際に対策を実行する」1年にする必要があります。
そのためには、対策を打つべき課題について「外部要因」と「内部要因」に分けて考えるといいでしょう。「外部要因」とはコロナ禍、燃料代高騰、新車納入遅延、円安等単独の会社では対策が打ちにくい要因です。「内部要因」とは社内業務や管理方法の見直しを指し、労務分野においては「時間管理方法の改善」や「給与制度改革」が挙げられ、「内部要因」について具体的な取り組みを進める必要があるでしょう。
2024年4月(以降の36協定に対し)には時間外労働時間数が年間「960時間」(月平均80時間)に制限され、改善基準告示における月の拘束時間上限時間数は「293時間」から「284時間」と「9時間」減となる予定ですが、例えば「出庫時間」をドライバー任せにせず管理を徹底し毎日30分程度でも短縮することができれば、月間11、12時間程度「拘束時間」「時間外時間」の削減が可能となり、改善基準告示改正への具体的な対策となります。また時間外が月間「90時間」程度であった場合では月間「78、79時間」程度となり月間「80時間」を下回り年間「960時間」の達成が見えてきます。
また、「休憩時間」を「60分」等みなしで管理、把握している会社であれば、デジタコを活用しコンビニ停車時間やサービスエリア停車時間をこまめに把握することで、さらに時間数を削減できる可能性があります。そのためにデジタコ・ドラレコやアプリ・勤怠システム等を積極的に活用し、社内DX化を進める第一歩としていきます。精度の高い時間管理を行うことは未払残業請求等から会社を守る効果があると共に手間のかかる給与計算に要する事務員の作業時間削減につながっていくでしょう。
さらに、時間外規制等によりドライバーの離職が懸念されている一方で未払残業請求への対策も急務です。そのためにはドライバーの「やる気」を引き出す「公平」な「コンプライアンス対応型」給与制度が求められており、「給与改革」も急務です。
魅力ある職場にはいいドライバーが集まります。2023年、まずは「時間管理」「給与改革」等の社内改革に取り組み、2024年問題に対応し2025年以降に勝ち残っていく会社になる基盤を築く1年となるよう祈念致します。
関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
「ブログ・高橋 聡」の 月別記事一覧
-
「ブログ・高橋 聡」の新着記事
-
物流メルマガ