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物流ニュース
第1回有識者懇談会 業界健全化に向けて発進
2014年3月14日
トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会の第1回目の会合が3月12日に行われた。全国の適正化実施機関からの速報件数(平成25年10~12月)を車両規模別にみると、全体の速報事業者数50社のうち、5~10台規模の事業者は43社で、全体の86.0%を占めている。この結果を踏まえ国交省は、速報事案の多い小規模事業者の効果的な指導・監査に向けた対策を検討していく方針を示している。
参入時基準の強化策として、「5台未満事業者への運行管理者の選任義務付け」「法令試験の見直し」「運行管理体制の確認強化」の3点を平成25年5月に施行、第2段階として「所要資金の見直し」「損害賠償能力の強化」などを昨年12月から施行している。これらは基準強化後の状況を注視しつつ、運用強化について検討する。業界ではこれまで、保有車両5台以上で許可が下りるように規制緩和が行われてきたものの、5~10台規模の事業者で違反が多いという事態を受け、台数規制に対する見直しを求める声もでてくる可能性も考えられる。
適正取引・安全阻害行為防止については今年1月、運送契約の書面化に関連して改正省令・標準約款を公布しており、ガイドライン・協力要請書の発出や荷主勧告運用強化の通達を発出し、4月1日に施行される。事業者による交渉力強化を支援し、書面化の普及・定着に向けたフォローアップを実施する。また、単に手数料だけを収受して下請け事業者の安全を確保できない利用運送事業者への対応も検討していく。委員からは、〝発注者〟が健全であるべきだと指摘する声も多く、今後の対応が求められる。
Gマーク取得事業者 表彰制度の創設
また、高いレベルにある事業所に対し一定の評価をする必要があるとして、Gマーク取得事業者の表彰制度を創設し、毎年度表彰を行う。平成26年度の運輸支局長表彰から実施予定で、対象事業所数は約1400事業所を見込んでいる。
表彰対象者は、地方運輸局長表彰、運輸支局長表彰ともに、「Gマークを10年以上継続取得している」「表彰日前日まで重大事故を惹起せず、行政処分を受けていない」「荷主からの評価、安定的な経営の確保、または運転記録証明書による運転者への指導が行われている」ことなどを前提とする。運輸支局長表彰は運転者教育の定期的な実施、地方運輸局長表彰は運転者教育が2か月に1回程度実施され、ISO基準など国の基準を超える教育が実施されていることを条件とする。デジタコまたはドラレコの装着も表彰基準となっており、運輸支局長表彰では配置車両の90%以上、地方運輸局長表彰は全車装着が求められる。
自動車運送事業の人材の確保および育成に向けて、今年1月に自動車局内に設置したプロジェクトチームでは、課題点として「業界のイメージアップ」「分かりやすいキャリアアップの提示」「ドライバーの労働に対する報奨制度」「教育・研修の充実・徹底」の必要性、そして大型トラックドライバーの長時間勤務の改善や健全化対策のほか、若者の採用、女性・外国人など多様な労働力の活用を挙げている。
今後は、従業員や顧客の満足度を主眼とした「企業価値の向上」、ビジョンを踏まえた「社員教育の充実」、チーム制・リーダー制や資格取得のサポートなど「教育の機会」を設け、特に、ドライバー業務の地位向上とキャリアアップのための制度創設を検討する。
若者に対しては、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などの新しい媒体も取り入れながら情報発信し、創造的な業務であることをPRしていく。また、中高生をターゲットにした出前講座などを積極的に開催し、中型免許問題の対応を含め、学校側と連携を図る。
女性就労者数は全産業の2654万人に対し運送業は2万人。中小企業で働く女性の活躍を阻む要因として、「女性が就ける職種が限られている」ことが建設業や製造業よりも高い。そのため、女性ならではの能力を生かせる業務として、宅配や引っ越し市場の魅力をアピールすると同時に、働きやすい環境の整備、「子育て期短時間勤務支援助成金」「中小企業両立支援助成金」などの制度を周知し、新たな就業を促したいとしている。多様な労働形態の導入に向けて課題調査も行っていく予定。
同懇談会では収益の源泉は「付加価値」という認識を共有し、企業価値の向上、企業ビジョンの確立に向けて新たな事業展開への取り組みも重要で、今後、トラック業界の取り組みの一般へのPR方法も検討していく。この記事へのコメント
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