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    TOTO 100周年に向け効率化推進、アナログ化で働きやすく

    2014年11月27日

     
     
     

     トイレ関連製品やシステムキッチンで名高いTOTOは、2017年に100周年を迎える。これに関連して策定された「Vプラン2017」が、現在進行中だ。2009年にスタートした同プランでは、2017年に売上高6500億円、営業利益610億円、環境貢献として「TOTOグローバル環境ビジョン」の実現を目指すとともに、国内と海外、新規事業の、それぞれ独立した3部門間が連携し効率化を進める。その取り組みの一つ、「サプライチェーン革新」の一環として開始された「物流革新活動」で進化を遂げる同社の物流にスポットを当ててみる。
     「今までとは全く違った方向性の革新活動が軌道に乗るまでには1年半近くを要した」と振り返るのは、物流本部東日本物流部の中村正幸部長だ。同部長は、本社で今回の物流革新のプラン策定に関わった後、関東と東北エリアを一手にカバーする千葉物流センターに着任し、現場を指揮する側に回った経歴を持つ。


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     今回の物流革新活動では、従来6日間だったリードタイムを半分の3日間に短縮するなど、時間とコストの効率化を推進してきた。これを実現するために一番時間を費やしたのは、「人の意識を変えること」だったという。
     それまで、ベルトコンベヤーやデジタルピッキングシステムを導入し、人手をかけずに効率的な業務を目指してきた同社の物流センターだが、物流設備を全て撤去することにした。「ベルトコンベヤーで流しても、回収する人がいなければ物が滞留してしまい、大きな設備はスペースのムダにもなる」など、設備がかえって非効率な状況を生んでいたと指摘する。これを廃止することで、従業員が働きやすい環境を整えた。
     「アナログ化」で働きやすくなった環境の下、人の動きを「見える化」し、徹底した進捗管理で効率を上げた。例えば、「出荷伝票は、専用に区分けしたボックスにマスごとに『15分』を一束にしてセットし、一束ずつ取り出してピッキングを行う」。これにより作業の進捗状況が一目瞭然になった。また、従業員の「多能工化」を目指し、効率化とともに、「スキルマップ」に各自が習得したスキルを記入することで、本人のモチベーションアップも図っている。
     さらに、教育にも力を入れる。作業をスピーディに行うため、今年度から開始したのが「パフォーマンス改善」だ。熟練者の作業と対象者の作業をビデオ撮影し、両者を比較して指導。その後、指導前と指導後の動画を重ねて本人に見せる。どこが変わったかを具体的にフィードバックすることで、気づきにつながる仕組みだ。
     同社では、「人づくり、風土作り」を重視し、月1回の拠点活動CA(チェック&アクション)会を開催している。本社職員も交えた幹部30人ほどが一日かけて構内作業のチェックとアドバイスを行い、「現場を確認し、改善点を見いだすとともに、現場の自律意識向上を図っている」という。意識向上には、「数値化してチェックしていくことも大切」と、同部長は話す。
     構内のオペレーションとともに、商品輸送の改善にも着手した。今まで錯綜していた物流を、千葉物流センターが一括管理できるよう体制を整備するとともに、徹底した「パレタイズ」で積載効率をアップさせた。これは、通常の1100サイズのパレットに隙間なく製品を積んでいく作業のことで、高さに関しても、「2〜3mなら2段でトラックの天井までぴったりになる」と、正確に積む。パレタイズの徹底で、目標の積載効率30%アップを3年前に達成している。
     積載効率を最大限にするため、それまでは物流センターの作業委託事業者に任せていたトラックの手配も自社で直接行い、配送事業者などの中継ターミナルを廃止し、ダイレクトに「多点下ろし」できる体制を整えた。
     直接管理するに当たり、「1年目は従来の事業者に入ってもらい、次年度はコンペを実施した」という方式を採った。これに先立ち、同部長は「事業者がやりにくいと思っていることを聞きとるところから始めた」と言う。その結果、「時間指定にゆとりを持たせることや、小さな部品は宅配にまわして、下ろし先の件数を減らす」などを配慮することで、「配送自体の効率も上がった」という。
     時間指定に関しては、製造部門と営業部門の理解も必須であるため、着荷主側の理解を得るために各支社の営業担当者に動いてもらうなど、社内体制を整えることにも尽力し、地道な努力を重ねている。
     こうした変化がありながら、協力事業者との関係を維持している背景には、月に一度の輸送会議のほか、年1回の「トップ会談」で事業者を訪問しているほか、「何か(変更点などが)あれば、こちらから出向いている」という。「皆が集まる場では、なかなか意見は出にくいもの。こちらから出向いて話を聞くと、困りごとや愚痴も話してくれる」と配慮を示す。
     今後について、「アナログ化などハード面の整備はほぼ完了した」とする同部長。「今年度からはIT系に本格的に着手する」としている。具体的には、「配車システムの導入、タブレットによる配送状況の確認でトラックの動態管理をしていく」という。これにより、支線で使っているトラック台数の3割削減で、環境対策を行う。「九州では実証済みで、関東でもトライアルを開始する」と動き出している。
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    ◎関連リンク→ TOTO株式会社

     
     
     
     

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