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ブログ・高橋 聡
第271回:令和時代の運送業経営 管理職編(69)
2024年9月5日
【監査・調査対応編】69
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号も前号に続き「監査・調査対応編」として、労基署等への調査対応について解説してまいります。
1.是正勧告への対応
労基署調査により「是正勧告書」「指導票」が交付されたが、その内容について「疑問がある」場合についての対応方法について解説してまいります。労基署の勧告等については、あくまで行政指導であるため「不服審査」等の対応はできないため、原則として「従う」こととなります(もしくは「従わない」こともあり得ますが、地域での関係性を考慮すると実際には難しいでしょう)。
しかしながら、監督官にもいろいろな方がいるのが実情でその指導内容について「疑問」が生じることがあります。
筆者が実際に直面した例として、「解雇」に関する事項があります。
表1のケースでは、社員に対し「解雇」をしようとはしていませんでした。態度、行動を改善し運転以外の業務に就くことを勧めていたのですが、労働者からのヒアリングを踏まえ労基署の判断としては「解雇」とされました。
2.対応のポイント
素行や対応に相当な問題があっても「解雇」することは難しいことについて理解している経営者は多いのですが、どこからが解雇に該当するかどうかに関しての線引きは難しいです。飲酒癖のあるドライバーについて粘り強く指導したが改善しないケース、何度も荷主の構内で事故を起こすドライバーについて運転職としての適性に問題があると判断したとしても解雇が難しい等、雇用契約の解除に関するルールは労働者保護のスタンスが強いのが実情です。問題のあるドライバーの雇用を継続することで荷主との契約が打ち切られる可能性があること、交通事故等で一般人を巻き込む重大事故の発生を未然に防ぎたいと真摯に考える経営者の意向を勘案いただきたいと感じます。関連記事
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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