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ブログ・高橋 聡
第273回:令和時代の運送業経営 管理職編(71)
2024年10月3日
【監査・調査対応編】71
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号も前回に続き「監査・調査対応編」として、労基署などへの調査対応について解説してまいります。
1.労基署と陸運支局の連携
2016年から、労基署で長時間労働などが問題となった場合、陸運支局に通報されるという仕組みがあります。例えばドライバーの申告、通報により労基署調査が実施された場合において、調査の結果、「重大な違反がある」と判断された場合には労基署から陸運支局に通報されることとなります。
陸運支局への通報により、改善基準告示の違反件数が多い場合には陸運支局から車両停止・事業停止などの行政処分が科されることとなり得ます。
同様に適正化実施機関による監査で評点が悪い場合などで陸運支局の監査が実施された場合において、「重大な違反がある」場合には労基署に通報されることとなります。労基署に通報された場合、「是正勧告」がなされ、悪質な場合には「書類送検」となり得ることになります。
また、労基署と支局による「合同監査」は令和4年で88件実施されています。2.労基署など調査への対応
これまで説明してきました通り、労基署の調査が入る場合に備えて、就業規則・36協定などの文書類、給与台帳・労働時間データなどのデータ類につきましては不備のないように整備しておくことが大切です。適正化実施機関、陸運支局の調査に対しては労働関係資料に加えて乗務員台帳、点呼記録、点検・整備記録、運転日報、運転者教育関係の記録など、運送事業法に基づく書類、帳票、データが必要になります。
ただしこれらの資料は本来、運送事業者が必ず備え付けておかなくてはならないものであり、特段、調査のために準備するものではありません。
経営者のなかには調査を嫌い、データを改ざんする悪質な方もいらっしゃいますが、記録などが存在しないことや誤ったデータになっていることは、いざという時に会社を守れないこととなるため改善が必要です。調査は、現場改善を進めるための前向きなことと捉えていく姿勢が必要です。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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