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物流ニュース
滋ト協 高校へ「キャリア教育」協力要請、業界への興味喚起
2015年9月9日
喫緊の課題である若年労働者の確保のため、各事業者や行政は対策に追われている。業界団体では、イメージアップを図り、運送業に興味を持ってもらうための新たな動きが出てきた。滋ト協の田中享会長らはこのほど、滋賀県立八幡商業高校(近江八幡市)を訪問。同協会が本年度から推進していく「キャリア教育」への協力と、ドライバー職の様々な形態があることへの理解などを求め、具体的な話を進めていくとした。
同高校を訪問したのは田中会長と甲斐切稔副会長、高校のある近江八幡市を含む湖東支部の尾賀康裕支部長、近畿運輸局自動車交通部の後藤浩之貨物課長、滋賀運輸支局の井尻憲司支局長、滋ト協の種村馨専務理事、大黒栄一参事の7人。学校側からは、小島秀樹校長と進路指導部長の野嵜重美教諭、中村正人教諭の3人が出席した。
同校は来年130周年を迎える伝統ある学校で、商業科、国際経済科、情報処理科の三つの科を持つ。女子生徒の割合が高く、平成26年度は約半数の生徒が卒業後の進路として就職を選択している。平成26年度の業種別内定状況では運輸通信業の割合は5%で、過去3年間の主な就職先には、大手運送会社や倉庫会社などが含まれている。
井尻支局長は「トラックドライバーという職業が、生徒の選択肢の一つとなるようアピールしたい」と述べた。田中会長は「県とのコラボ事業の中でも、キャリア教育は重要な事業であるため、ぜひともご協力いただきたい」と力強く訴えた。
続いて、甲斐切副会長が「現在のトラックは昔に比べて乗りやすくなり、ドライバーは安全第一で走行している。最近ではトラガールと呼ばれる女性ドライバーの雇用促進も行われている。環境さえ整えば女性でも活躍できる職業。出前授業では女性ドライバーにも話をしてもらう。また、協会で制作したWebドラマ『走れ! 風になって未来へ』を生徒に見ていただくことで、運送業界を理解してもらえるのではないか。運送業は基幹産業であることを知っていただく場を設けていただきたい」と、熱い思いを話した。
尾賀支部長は「物流業界は働き甲斐のある場所と分かっていただきたい。対象は1・2年生で、1〜2時間ほどいただきたい」と述べた。
学校側からは免許制度について質問があり、田中会長は「今後、トラックが乗れる免許と乗用車の免許とを分ける法案となり、我々は就職後に免許をとってもらうという形でも良いのではないかと思っている」と回答した。
その後、進路指導部の野嵜教諭が進路状況について説明し、「滋賀という土地柄もあり、製造業の工場への就職が多い。生徒の特徴として地元志向が強いので地域を支える人材となってほしい」と話した。
■イメージを変え就業先の一つに
田中会長は野嵜教諭の説明に対し、「高校に求人票を出すにあたり、躊躇する会社が多い。運送業は良いイメージを持たれておらず、新卒者が入社しないという先入観があるため。女性が活躍する場もたくさんあり、ドライバーも長距離の仕事ばかりではない。まずは業界に興味をもってもらうことが先決」と話した。
滋ト協は今年12月末をメドに、各支部地域の高校で出前授業を予定しており、Webドラマに加え、パンフレットなども作成し、広く呼びかけていく考えだ。
一昔前は「トラック野郎」のイメージが強かった運送業界だが、宅配の女性ドライバーや大手運送会社の俳優を起用したCMなど、若い世代が運送業に抱くイメージは少しずつ変わりつつある。しかし、高卒者の就職には保護者による一定の理解も必要で、広く一般に正しい理解が求められる。キャリア教育の道のりは長いが、滋ト協の取り組みは、確実に人材確保への一歩を踏み出した。この記事へのコメント
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