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    新規案件受注の秘訣 コンペでの提案力磨く

    2015年11月18日

     
     
     

     首都圏や中部、関西といった生産地や大消費地から遠く、域内も広域で都市が分散している北海道では、荷主企業が新しく進出してきたり、事業を拡大するといった動きは多くなく、物流企業が荷主や物流子会社などと直接の取引を新たに始めることは簡単な話ではない。このような中で、新規案件の受注を増やしている企業は、物流コンペでの提案力を磨いている。
     食品や雑貨の物流に強いA社は来年度、売上高が今年度から30%程度増えることが確実な見通しだが、コンペでの勝率が武器になっている。社長は「コストではなく、荷主に対する提案力で勝負している。荷主が何を求め、何が必要かを自前で徹底して考えている。先方に『刺さる提案』をすれば勝てる」と語る。
     「コンペでは、荷主が求める当初の要件とは全然違った提案書を作ることもある。ルール違反だが、それではねられたことはほとんどない」という。道内4か所の物流センターを運営する見積もりを求められたケースでは、センターを1か所に集約し、そこから全道配送をかける提案を行って、受託した実績もある。


     「なぜ物流センターを必要としているのかを先方の立場で考えると、物流体制をどうしたいかが見えてくる。最も効率的な姿を描いて『こう変えましょう』と提案すれば、おのずと結果が付いてくる」と話す。「見積もりだけで競っても面白くない。徹底して自前で考え、先方の予想を超えるような提案をしていけば仕事はとれる」と話す。
     一方、既存の大口荷主が倉庫管理システムの導入を伴う物流センターの運営体制の見直しを行うことになり、コンペに参加するよう打診されたB社。競合は大手卸企業で、これまでは同社が元請けだったが、結果次第では、下請けに回る可能性が濃厚だった。
     このような本格的な物流コンペに臨むのは初めての経験だったため、社内にノウハウがなく、物流コンサル企業に支援を求めた。しかし、道内でコンペに強いコンサルは見つからず、本州のコンサルは費用が高額すぎて手が出なかった。コンペまで1か月を切った段階で、提案書に手がつけられない状態だった。
     苦しい立場に追い込まれたが結局、荷主の都合でこのコンペ自体が立ち消えになり、同社は変わりなくセンター業務を請け負っている。担当者は「社内のレベルアップのためにはいい機会だと考えたが、生かせなかった」と話している。

     
     
     
     

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